急成長中のLINEのサービス。開発拠点も増強
9月28日、LINEはコミュニケーションアプリ「LINE」をはじめとするさまざまなサービスにおける技術領域でのチャレンジ、社内の開発体制などを紹介するエンジニア向け技術カンファレンス「LINE DEVELOPER DAY」を開催した。同イベントのオープニングセッションに登壇したのは、上級執行役員CTOの朴イビン氏である。
LINEが現在、掲げている企業ミッションは「Closing The Distance」。「この企業ミッションの下、人と人、サービス、技術の距離を縮めることに取り組んでいる」と朴氏は語る。
現在、メッセージングサービス「LINE」のMAUは1億6900万。1日にやり取りされているメッセージ数は約250億、ピークの時は毎秒42万件に上る。1日のAPIリクエスト数が800億件、1日のイベントレコードは1500億件、分析系のログだけでも40ペタバイトに上るなど、超巨大サービスへと成長している。
サービスの拡大に合わせて、LINEの開発拠点も増やしている。現在の開発拠点は東京、福岡、韓国・ソウル、中国・大連、台湾・台北の5カ所だが、新たにタイとベトナムにも新設。さらに日本でも来年の春を目処に「京都ブランチをオープンする予定だ」と朴氏は意気込む。
その他のサービスも成長している。「LINEニュースのMAUは5900万人に成長。タイやインドネシア、台湾、米国などで提供しているニュースサービス『LINE TODAY』は1億MAU、MPVは50億超となっている。その他、『LINE LIVE』のMAUは2800万と大きく成長しており、今年の夏にはドイツ版のLINE LIVEサービスを開始しました」と朴氏は説明する。
決済サービスも順調だ。「LINE PAY」の登録ユーザー数は3800万人。今年の5月には月間の流通総額が8億円を記録。もちろん海外でも展開しており、台湾では税金の支払いにも使われているという。「このようにLINEはメッセージングを中心に、世の中のさまざまなサービスとみなさんをつなぐスマートポータルの実現を目指している」と朴氏は語る。
スマートポータル実現に向けたテクノロジーへの挑戦
そしてこのポータルの実現に欠かせないのが、テクノロジーへの挑戦だ。LINEは「REALTIME LARGE-SCALE TECHNOLOGY」「MULTIMEDIA TECHNOLOGY」「AI TECHNOLOGY」という3つの分野で、技術開発を推進。またオープンソフトウェアの活用にも注力している。HBase、Lettuce、Kafkaをはじめ多様なソフトウェアを利用し、LINEだから発生する問題に対しても積極的にコントリビューションしたり、またLINEで開発している技術についても「必要に応じて公開している」と朴氏は語る。
LINEはAPIも公開している。例えば昨年の同イベントで公開したボットを作るためのAPI「LINE MESSAGING API」はその代表例だ。「13万件以上のボットアカウントが生成され、20億の友達につながり、100億以上のメッセージがやり取りされている」と朴氏。
最後はLINEのクラウド型AIプラットフォーム「Clova」およびそれを活用したスマートスピーカー「WAVE」についても簡単に紹介した。例えばClovaではソニーモバイルコミュニケーションズやLGエレクトロニクス、ヤマハ、トヨタ自動車、タカラトミーなど、企業との共同プロジェクトも進行しているという。
最後にはこれからの技術ロードマップも披露した。「来年にはさまざまなAPIが登場してくる予定」と朴氏。さらに、APIの活用を推進するため、新たな認定制度「LINE API EXPERT」を開始するという。
朴氏は最後にこう語りセッションを締めた。「皆さんのアイデアと技術、そしてLINEが持つプラットフォームとデータをうまく活用し、共にユーザーに快適な環境を提供しましょう」