CodeZine(コードジン)

特集ページ一覧

期間は6日間、LINEはいかにして新型コロナ対策全国調査を開発したのか

LINE DEVELOPER DAY 2020 レポート

  • ブックマーク
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2021/02/03 11:00

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する政策決定に役立てるため、LINEはLINEの月間アクティブユーザー8300万人(調査実施時点)に対して、全国調査を複数回にわたって実施してきた。最初の全国調査が実施されたのは2020年3月31日。なるべく早いタイミングで調査を実施することをミッションとしていたため、プロジェクトの立ち上げからリリースまでの時間はたった1週間と、驚異的なスピード感で実現したという。しかも2500万ユーザーから回答を集めることができた。このような仕組みがなぜ、短期間で実現できたのか。LINE OA Dev1チーム ソフトウェアエンジニアの小川拡氏が解説した。

目次

「新型コロナ対策のための全国調査」のための仕組みを一から開発

 LINEでは毎年、最先端の技術や積み重ねられた挑戦・知見を共有するためのイベント「LINE DEVELOPER DAY」を開催している。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、11月25日~27日の3日間、オンラインによる開催となった。

 2日目のServer Side Applicationトラックの最初のセッションは、LINE OA Dev1チーム ソフトウェアエンジニアの小川拡氏による「2500万ユーザーから回答を集めた新型コロナ対策のための全国調査を1週間で作った話」。

LINE OA Dev 1 チーム ソフトウェアエンジニア 小川拡氏
LINE OA Dev 1 チーム ソフトウェアエンジニア 小川拡氏

 小川氏は2015年に新卒でLINEに入社。現在はLINE公式アカウントの管理画面などのサーバーサイドのソフトウェア開発に携わっている。「これまでにスマートチャンネル、LINE広告、LINEポイントなどの開発に参加してきた」と語る。

 LINEが開発した「新型コロナ対策のための全国調査」はこれまで5回実施されている。回答データは個人が特定されない形で厚生労働省に提供され、感染防止対策に役立てられているという。

新型コロナ対策のための全国調査
新型コロナ対策のための全国調査

 「この調査の特徴は3つの数字で表すことができる」と小川氏は言う。第一の数字は「8300万」。これは全国調査への回答をお願いするために送信したメッセージ件数である。「アクティブユーザー全員に送信した」と小川氏。第二の数字は「2500万」。これは回答件数だ。「絶対数としてもユーザーに占める割合にしても驚異的な回答数を集めることができた」(小川氏)

 第三の数字は「6」。これはプロジェクトを立ち上げてから調査を実施するまでの日数である。なぜ、このような短期間で大規模な調査を実施することができたのか。

 同プロジェクトを立ち上げたのは2020年3月25日。ちょうど日本国内で感染者が急速に増加しており、同日、東京都では土日の不要不急の外出自粛が呼びかけられた。「何らかの形で厚生労働省のクラスター対策班に協力したいと考えていた。我々にできることを検討した結果、多くのユーザーと接点を持っているLINEの強みを生かし、クラスター対策に必要な全国調査を実施することにした」と小川氏は話す。

 調査を実施するに当たり、3つの方法が候補に挙がったという。1つはすでに提供しているリサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」のシステムを利用する方法である。素早く実施できるという利点はあるが、今回のような全国規模の調査を対象としているものではなく、負荷対策に時間がかかるため候補から排除したという。2つ目はアンケートシステムを提供している他の企業と協力する方法である。だが、他社と連携するにはコミュニケーションに時間がかかることが想定される。「この方法も見送った」と小川氏。第三の方法が新たにシステムを開発する方法である。「当然簡単なことではないが、今回の調査のために特化することができる。結果的に最速で調査を実施できると考え、この方法を選択しました」(小川氏)

 6日という時間の中には、仕様や調査内容の策定からリリース前に必要なQAまでのすべての作業が含まれている。そのため「システムを構築するための開発期間は実質3日しかなかった」と小川氏は振り返る。そんな短期間の中でも、「多くのチャレンジがあった」と小川氏は言う。


  • ブックマーク
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あなたにオススメ

著者プロフィール

  • 中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

     大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

バックナンバー

連載:LINE DEVELOPER DAYレポート
All contents copyright © 2005-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5