顧客との接点としてのUX~成功を収めた企業のサービス開発とは
スマートフォンの浸透やスタートアップの活躍により、既存のビジネスモデルやサービスをディスラプトするサービスが日々生まれています。競争が激化する中、企業が成長し生き残るためには、優れたUXにより顧客の心をすばやくつかむことが必要です。そのため、顧客との大きな接点となるフロントエンドの重要性が高まっています。
進化するフロントエンド開発技術
優れたUXの実現に向け、フロントエンドの開発技術は大きく変革しました。
中でも、「React」が注目を集めています。Reactは、Facebookが開発しOSSとして公開したライブラリで、複雑かつ大規模なUIの構築・管理を容易にします。InstagramやNetflixなど、急成長している企業の多くが、優れたUXを追求するために、自社サービスの構築にReactを採用しています。
さらには、コード規約に基づいたコード自動修正や、UIテストを効率化するスナップショットテストなど、生産性を高める手法も続々と登場しています。時代錯誤の技術・手法を使ったままでは、トップ企業と同じ土俵に立つのはもちろん、自社が成長を続けていくことも難しくなります。
PaaSを利用した「クラウドネイティブな開発」が前提
著名なサービスが使用している技術やツールをまとめたStackShare、FounderKit、Sifteryといったサイトがあります。これらを見ると著名なサービスは、多数のPaaSを巧妙に組み合わせて作られていることがわかります。成功した企業の多くは、コモディティ機能には既存の高品質かつ高機能な専用サービスを利用し、ビジネスのコアになる独自機能にリソースを集中的に投入しています。このようにクラウドを活用する「クラウドネイティブな開発」スタイルは、現代の開発者に必須なスキルのひとつとも言えるでしょう。
ユーザの声をもとに「MVP」を繰り返し改善
多くの企業の新規事業や起業の教科書となっている書籍『リーン・スタートアップ』の著者、エリック・リースは、ビジネスのアイデアをMVP(Minimum Viable Product)と呼ばれる必要最小限の機能を持った製品・サービスとして形にし、利用状況とユーザの声をもとに改善サイクルを回すことを提唱しています。顧客の心をとらえるためには、アイデアをすぐ形にできるスピーディな開発が必要です。実際の開発現場でも、新規企画をプロトタイプとともに提案したり、デモを数日で作ったりするシーンが増えているのではないでしょうか。そういった場合には、リーン・スタートアップの考え方が重要になります。
成功企業に学ぶ、時代をつかむ開発
こういった時代に、エンジニアはどんな開発を目指せばよいでしょうか。PaaSを組み合わせてスピーディにMVPを開発し、改善サイクルを回しながら優れたUXのフロントエンドを実現する。これがひとつの答えです。
本連載では、先述のような最新のフロントエンド技術を用いた本格的なWebアプリを、フロントエンド分野の初心者でも数10分~数時間で開発できるようにすることが目標です。以上を踏まえて、まずはWebアプリの基本を見ていきましょう。