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エンジニアは希少性・客観性・万能性を身につけて生き残れ!―「クラシル」のCTO・大竹雅登が考えるエンジニアの生存戦略

Battle Conference U30 基調講演「超高速で変化する厳しい世の中での戦い方」レポート

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2018/07/11 14:00

2017年12月に1,000万ダウンロードを突破。“偉業”と言うべき結果だ。日本最大のレシピ動画アプリ『kurashiru(クラシル)』の達成した数字である。今やクラシルは、料理を愛する多くの方にとって欠かせないアプリとなった。だが、この結果は一朝一夕に達成できたわけではない。開発元であるdely株式会社は、創業から二度の事業撤退を経験。多くの社員が辞め、「エンジニアがCTO1人しかいない」という時期も経験したという。Under30エンジニアによるUnder30エンジニアのための技術カンファレンス『Battle Conference U30』の基調講演「超高速で変化する厳しい世の中での戦い方」では、自身の激動のキャリアや世界の技術的なトレンドを踏まえ、同社CTO・大竹雅登さんがエンジニアとして生き残っていくための術を語った。

目次
dely株式会社 取締役 CTO 大竹雅登さん
dely株式会社 取締役 CTO 大竹雅登さん

激動の世の中で、エンジニアは戦っていかなければならない

 「単刀直入に、今僕たちがいるのは非常に厳しい世界だと思っています」

 大竹さんはそう口を開いた。その理由は「テクノロジーのトレンドの変化の速さ」にあるという。クラウド、AI(人工知能)、ブロックチェーン。毎年新たなテクノロジーが生まれ、トレンドの変化が激しいため、自分の持っているスキルが数年で陳腐化するケースも珍しくない。さらにグローバル化が進んで世界中の人がライバルなると語った。いま一体どんな変化が起こっているのか? 大竹さんは解説を始めた。

1人のエンジニアが生み出す付加価値に上限がなくなった

 いま起こっている変化を3つのキーワードで表すなら「完全競争市場化」「専門技術のSaaS化」「スキルのレバレッジ」だという。

 1つ目の「完全競争市場化」について、大竹さんは次のように語った。

「完全競争市場は経済学の用語で、情報がオープンで全ての人がアクセス可能であり、需要と供給の関係によって価値が決まる市場のことです。これは理論上の話として扱われていて、実際の市場は特定の人しか持っていない情報が少なからず存在する不完全市場だと言われています。ですが僕は、100%にはならずとも、どんどん世界は完全市場に向かって変化していると思っています」

 テクノロジーの普及により、世界中の誰もが相互に情報をやりとりできるようになった。その結果、全ての人が平等に比較され、優れたスキルを持つ人にチャンスが多く集まる世界になってきているのだという。その世界では、自分の勤める企業の中“だけ”の優位性を持つのはリスクである。1つの会社内だけの評価というのはその会社に強く依存しているものなので、サステイナブルではない自分の価値になってしまう。完全競争市場で生き残っていくためには、市場から評価される環境に身を置くことで、世界中どこでも価値を感じてもらえる存在になるべきであるという。

 2つ目の「専門技術のSaaS化」については、「多くの人が体感したことがあるのではないでしょうか?」と大竹さんは客席に問いかけ、こう続けた。

 「例えば、AWSやGCPなどのクラウドが発展したことで、少し前まで専門技術だったことが、さほど専門的な知識を持っていなくても実現できてしまうようになりました。ストレージは随分前からS3が主流になり、DBはフルマネージドのRDS、オーケストレーションツールはKubernetesがフルマネージドで提供されるようになるなど、かつての先端技術がコモディティ化しています。その結果、単一の技術に限定された専門性には付加価値がなくなってくるのです」

 では、これからのエンジニアにはどんなスキルが求められるのか。答えは「システムの全体構築ができること」だと語る。ビジネス的な要件も理解した上で、SaaS化した技術を組み合わせてシステム全体を構築できる人の価値が今後は高まるだろうと語った。

 3つ目の「スキルのレバレッジ」とは、高いスキルを持った職業人が生み出せる付加価値に上限がなくなっているということである。

 「先ほどの話にも通じますが、クラウドコンピューティングの進化により、大規模なシステムでも少人数で開発・運用できるようになりました。クラシルは1000万ダウンロードを突破してトラフィックもかなりあるのですが、実は長い間インフラエンジニアは1人だけでした。それくらい、1人でも実現できることは大きくなっています」

 優秀な1人にレバレッジがかかる世界では、「少数の優秀なメンバーが濃度の高い仕事をすること」の重要性が高まってくる。チームの頭数をただ増やすのでは意味がなく、少数でも優秀なメンバーが高いパフォーマンスを発揮できている状態が良いチームの形であるという。


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