ClovaスキルとLINE Botで実現できること
「LINEでは、AIを『Virtual Assistant in our life』と定義している。AIは私たちの生活に溶け込み、サポートしてくれる存在でなければならない」と立花氏。
それを体現するのがClovaであり、その「サポートしてくれること」の幅を広げるのがClovaスキルということになる。
Clovaスキルで実際どのようなことが可能となるのか。立花氏はすでに提供されているスキルや、比較的容易に実現できるスキルを例に説明した。
まず挙げたのが、歯磨きや食事、着替えなど、何かとあわただしい朝の出勤前のサポートだ。諸々の支度で手がふさがっている状態でも、Clovaに標準で搭載されているスキルを音声で呼び出して、天気やニュースの検索・再生、ToDoリストのチェック、電車遅延状況の確認などが行える。
これらはほかのAIアシスタントおよびスマートスピーカーでも可能だが、LINEの場合はさらに「LINE Bot」と連携させることで、より便利な使い方ができるようになるという。
「出勤前の準備をしながらニュースを聞けるといっても、時間は限られている。そこでClovaスキルではサマリーだけを流し、記事全文はLINE Botから自分のアカウントに送るようにしておけば、電車の中で気になったニュースの詳しい内容をチェックできる。また、週間天気のように『音声で聞くには長すぎる結果』なども、LINE Botに流したほうが使い勝手がいい」
また、料理のレシピ検索などでは、手がふさがってる料理中はClovaスキルでレシピの音声を再生しつつ、検索内容に基づいた「おすすめレシピ」をLINE Botにプッシュしておき、あとでゆっくり閲覧するといった楽しみ方ができる。
ほかにも、ヨガのポーズ指示(Botではトレーニング履歴を管理)、IoTのスマートロック(Botでは出先から施錠状況チェック)など、さまざまな用途でClovaスキルとLINE Botを組み合わせて活用できるという。
CEKの一般公開で誰でもClovaスキルを開発可能に!
LINEでは7月にCEKを一般公開し、Clovaスキルの開発環境をオープン化。これにより、Clovaデバイス上で動作するスキルを誰でも容易に開発できるようになった。
これに合わせて立花氏はCodeZineでClovaスキル開発の連載を開始。「時間の都合もあり、具体的な開発手順などは記事を参照いただきたい」としつつ、ポイントのひとつである「対話モデル」の概要について簡単に解説した。
例えば乗り換え案内のサービスを作りたい場合、Webアプリなら「出発駅」「目的駅」のテキストフィールドや「出発時間」などの日付・時刻を選択できるGUIを用意すれば、システム側はユーザーの要求を明確に得ることができる。これに対し、スマートスピーカーのVUI(Voice User Interface)では、「1時間後の新宿から渋谷までの経路を教えて」「16:00発の新宿から渋谷への行きかた」のように、ユーザーの意図は同じであっても無数の入力パターンが考えられる。
「これを吸収する仕組みが対話モデル。適切に対話モデルを設定することによって、無限にある同じような意味の発話パターンから、処理に必要な情報だけを抜き出せるようになる」と立花氏は説明。
処理に必要な情報とは、「意図」(「経路を調べたい」など)と「対象」(出発駅:渋谷、目的地:新宿、時間:16:00など)だ。対話モデルの設定画面で意図と対象を設定し、考えられるユーザーの発話パターンをいくつかサンプル発話として登録しておけば、登録したパターンだけでなくさまざまな発話から、意図と対象を適切に抽出できるようになるという。
「シンプルなスキルなら15分程度で作ることができるので、ぜひ試していただきたい」と立花氏は呼びかけた。
なお、LINEではCEKの公開に合わせて、ClovaスキルおよびLINE Botを対象とした開発コンテスト「LINE BOOT AWARDS 2018」を開催することを発表している。応募要件は「Clova Extensions Kit(Clova SDK)またはMessaging API、もしくはその両方を利用していること」で、グランプリの賞金は1000万円とのこと。
「グランプリ以外にもファミリー部門賞、暇つぶし部門賞など、さまざまな部門賞を用意しているので、ご自身のアイデアにマッチするものが何かあるはず。奮ってご参加いただきたい」
LINE BOOT AWARDS 2018の申し込み締め切りは10月10日(水)、決勝戦が11月10日(土)開催予定となっている。まずは気軽にCEKでスキル開発を試してみて、手応えをつかんだ方や何かアイデアが浮かんだ方はエントリーしてみてはいかがだろうか。
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