Agile 2018とは?
Agile 2018とは、「アジャイル開発」をテーマに毎年アメリカで開催されるカンファレンスです。キーノートに入る前に、Conference ChairのBrian Button氏から、Agile 2018に関する数字の説明がありました。
今回の参加者は、45か国2347人、909の企業から集まりました。セッション数はサブミッション(発表の申込み)が約1500件あり、その中から厳選された約300のセッションでプログラムが構成されています。そして、毎日約20セッションが同時開催され、5日間の日程を走り抜けます。
アジャイル開発といえば、XP(eXtreme Programming)、スクラム、リーンやかんばんなど、さまざまなフレームワークが有名ですが、カンファレンスで定義されているトラック(セッションごとのテーマ)を見てみると、「Agile Data Metrics and Forecasting」「Coaching & Mentoring」「DevOps」などのように、テーマが広範囲に広がっています。よって、ソフトウェア開発に関連する仕事をされている方であれば、幅広く楽しめるカンファレンスです。
いかにしてアトラシアンは企業文化を作っていったのか?
カンファレンス期間中3つあるキーノート。初日のキーノートは、豪アトラシアン社のDominic Price氏による「The Future of Work & Healthy Teams (that might not be agile) 」です。今回、氏は「仕事の未来、そして、健康的なチーム」について、ご自身の経験を交えながら聴衆に語りかけました。
はじめに、アトラシアン社のバリューについて説明がありました。アトラシアン社は、ダニエル・ピンクの『モチベーション3.0』でも紹介されているように、働き方に対して先進的な企業の一つです(参考動画:RSA ANIMATE: Drive: The surprising truth about what motivates us)。そのバリューを一つ一つ見ていくと、
- Open company, no bullshit (嘘がないオープンな会社であること)
- Play as a team (遊び心のあるチームであること)
- Build with heart & balance (心のバランスをとりながらやること)
- Be the change you seek (求めている変化を遂げていくこと)
- Don't #@!% the customer (顧客を裏切らないこと)
が挙げられ、組織を作っていく上で、オープンであり、ユーモアがあり、顧客に向かって仕事をする姿勢をとても強く感じます。
そして、組織やチームを作っていく上で、チャレンジとなるポイントは、「Scaling (スケールすること)」「Time (時間的制約)」「Multiplier(乗数。ここでは分散開発などが含まれているよう)」「Perfection(完璧にやりとげること)」だと説明しました。
また、ある調査によると、所属するチームを信頼していないと答えたメンバーが78%にもなるそうです。その原因として、59%の人が「コミュニケーション不足」、29%の人が「責任感のなさ」を挙げており、人に直結する課題が壁になっています。
さらに、「効率的 VS 効果的」という視点も重要です。効率的=効果的とは限らないので、従来型の「チームに指示を出したり管理したりする」よりも、「チームを勇気づける」ようなマネジメントのほうが、現在求められるプロセスにはマッチするケースが多いでしょう。
そして、Greatなチームになる秘訣とは?
- 正しい道具を使い
- 正しい人々が集まり
- 正しいプラクティスを実践する
開発ツールベンダーであるアトラシアンらしいスライドです。
チーム作りには課題があり、人と人との間にさまざまなギャップが存在するのは、よくあることです。アトラシアン社では、チームの潜在能力を開放し、チームがうまく機能するための手引書として「The Attlassian Team Playbook」を公開しています。このPlaybookは、どんなチームにでも適用できる、チームによるチームのためのツールです。
キーノートのタイトルは「The Future of Work & Healthy Teams (that might not be agile) 」ですが、世界的な開発ツールベンダーとして成長する過程の中で、さまざまな取り組みを実践してきたアトラシアンの企業文化がよく分かるプレゼンテーションでした。