ファンクラブの新しい形「fanicon」を開発
――まずTHECOOがどんな会社で、どのようなサービスを展開されているのか教えていただけますか。
星川 元Googleの平良が2014年に立ち上げたスタートアップで、5期目に入ったところです。事業としては会員制のファンコミュニティアプリ「fanicon(ファニコン)」の開発運用と、他にもマーケティングコンサル事業、インフルエンサーマネジメント事業などを手がけています。現在はインフルエンサー関連事業がメインですが、会社の方針として、あえてジャンルにこだわるつもりはなく、インターネットを軸にさまざまなことに挑戦することを信条としています。
城 その中で、星川くんと私はfaniconを担当しています。faniconはファンクラブをいわば「インターネット化」したようなサービスで、アプリそのものは無料ですが、月額課金制の有料のファンクラブをつくることができるようになっています。有料なのでファンしかいない快適な環境で「アイコン」と呼ばれる主催者とのコミュニケーションを楽しめるというわけです。
星川 当初はアイコンとのトークできる機能しかなかったのですが、運営しているうちにファン同士のLINEグループができコミュニケーションを取り始めたので、faniconにもグループチャット機能を入れたり、アプリ内限定のライブ配信やポイント制のスクラッチくじなどの機能を追加したりしていきました。現在はローンチしてちょうど一年経ったくらいですが、じわじわとアイコンも利用者が増えて、現在ファンコミュニティ数が1000以上(開設準備中を含む)という規模にまで成長しました。
――お二人はfaniconの開発において何を担当していますか。
星川 私はfaniconのプロダクトマネージャーとして開発全般を見ています。2017年1月から城くんとfaniconを作りはじめて、今はエンジニアやカスタマーサクセスの担当者も増え、20人ほどのチームになりました。最初は私もコードを書いていましたが、現在はサービスが成長するための戦略や施策を考えることが主な仕事です。
城 私はリードエンジニアとして開発・運営を担当しています。立ち上げのときはとにかくモノをつくること。星川くんともうひとりのデザイナーが考えることを、「ユーザーに見せられる状態」になるまで、アプリもインフラ、サーバーも全て1人で作りましたね。ローンチ後は、ユーザーのフィードバックを受けての改善がメインで、優先順位や全体のバランスを見ながら、どこをどうするかを他のエンジニアと調整したり、自らもユーザーメリットを考えコードを書いたりすることが仕事です。
星川 スタートアップの場合、フェーズごとに仕事が変わります。今はかなりメンバーが増えたので、彼らが自分の仕事に集中できるよう環境を整えることが自分の仕事です。だから問い合わせにも直接応えるし、カスタマーサクセスもやるし、プロジダクトマネージャーというとかっこいいけれど、実態は「雑用係」。よくいって「便利屋」でしょうか(笑)。いろいろやりながら必要な仕様や機能、イベントを考えたり、データを見て調整したり。どうしたらアイコンが活動しやすいか、ファンが楽しんでくれるか、プロダクトが成長するか、そればかりを常に考えています。役割から言えば「成長責任屋」ともいえるかもしれません。
城 そんな星川くんが成長を追いかけるのを、足元から支えるのが、私の役目です。ユーザーに見えている部分がシステムという氷山の一角だとしたら、その下の大きい部分を見て、成長に耐えうる足場になっているかを考え、リスクを先回りしては潰すということを行っています。
星川 改めて城くんが作ってくれた広さと深さに驚いています。最初に構築した基盤の上にどんどん仕様を追加していますが、それができるものも開発アーキテクチャの設計が優れているから。開発時も山ほど仕様変更があったし、無茶なお願いで振り回した自覚はあるのですが、それにも応えてくれました。たまに「すごいな」と思います。
城 たまにか(笑)。まあ、つぎたしはあるけれど、アーキテクチャは変わらずに来れたのはラッキーでしたね。インフラはGCP(Google Cloud Platform)、サーバサイドの言語はNode.js、iOS開発はSwift、AndroidはKotlin、Webのクライアント側がVue.jsですか。今どきの流行りな感じです。