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【Developers Boost 2019】セッションレポート(AD)

ヤフーのスクラムマスターが語る、失敗から導き出したチーム改善の知恵【Developers Boost 2019】

【C-5】入社2年目からスクラムマスターとしてチーム改善に取り組んだ話

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 スクラムマスターとは、スクラムの理解と実践をチームの全員に促し、プロジェクトを円滑に進めていくメンバーのこと。スクラムを成功に導くために、必要不可欠なポジションだ。ヤフー株式会社の西山慧氏は、入社2年目からスクラムマスターとしてチーム改善に取り組んできた。本セッションでは西山氏が、スクラムにおける3つの失敗談と、その改善を通じて得たノウハウを解説した。

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ヤフー株式会社 テクノロジーグループシステム統括本部サービスプラットフォーム本部 西山慧氏

ヤフー株式会社 テクノロジーグループシステム統括本部 サービスプラットフォーム本部 西山慧氏

失敗談1:終わらないユーザーストーリー 

 西山氏はまず、1つ目の事例である「終わらないユーザーストーリー」について解説する。このプロジェクトでは、1つのスプリントを2週間に設定した。そして、あるユーザーストーリーを終えるのに3スプリント(約1か月半)も要してしまったという。明らかに、開発が円滑に進んでいない状態だ。

 「過去に一緒に仕事をしたスクラムコーチが、『スクラムはチームの今を可視化してくれます。それを生かすも殺すもチーム次第です』と言っていました。だからこそ、なぜユーザーストーリーがこれほど長期にわたったのか、チームのみんなで原因と改善策を考えることにしました」

 西山氏は振り返りミーティングで、各スプリントで起きた出来事を可視化しようと試みた。用いたのは、タイムラインという手法である。

タイムラインを活用し、各スプリントで起きた出来事を可視化
タイムラインを活用し、各スプリントで起きた出来事を可視化 

 この手法では、ホワイトボードの横軸を時間軸に見立て、スプリントごとに期間を区切る。そして、それぞれの期間で起きた出来事を付箋に記載し、貼り付けていく。付箋の内容をもとに議論した結果、「特定のメンバーだけではなく、全員がユーザーストーリーに取り組んでいる」ことが見えてきたという。

 「私たちのチームでは、1つのユーザーストーリーに1人のエンジニアをアサインする方針をとっていました。この振り返りを踏まえ、チームのルールとして『不明点がある場合や困っている場合には、すぐに全員で集まって作業する』ことを決めました。

 このルールにより、作業に問題があった場合でもメンバーがすぐに集まって解決できるようになりました。作業の効率が良くなり、ユーザーストーリーが3スプリントにまたがることは、ほぼなくなりました」

 西山氏は「この取り組みはスクラムの3本柱を体現している」と解説する。スクラムの3本柱とは「透明性」「検査」「適応」という3つの軸のことだ。

 透明性は、チームの「今」を見えるようにすること。検査は、課題に対して解決すべきか考えること。適応は、課題を解決するためのアクションをすること。前述のようなチームのルール変更の流れは、まさにこの3要素に当てはまっている。

 「スクラムの3本柱を意識して運用を続けることが、スクラムの本質を理解し、プロジェクトを成功に導くために必要なことなのです」

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失敗談2:プラクティスが導入できない 

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