Perl技術者を対象としたカンファレンス「YAPC::Asia 2007 Tokyo」が、本日から明日の5日まで、東京 千駄ヶ谷の津田ホールにて開催される。講演資料や動画も後日、同イベントのWebページでの公開を予定している。Perl技術者の方はお見逃しなく。
Perl技術者を対象としたカンファレンス「YAPC::Asia 2007 Tokyo」が、本日、東京 千駄ヶ谷の津田ホールにて開催された。開催期間は4月4日から5日までの2日間。開演の挨拶を行ったシックス・アパートの宮川達彦氏によると、スピーカーやスタッフを含めた総勢435名が集い、最大級のPerlのイベントになったとのこと。
前半のダイジェストを紹介すると、まず、Ingy döt Net氏がYAPCのWikiでも使われているというKwikiについて解説。モジュールが多すぎる、遅い、ドキュメントがない、といった反省点を踏まえ、Kwiki 2.0へバージョンアップした経緯に触れた。今後は、MediaWikiの実現や、独自マークアップの定義、CPANへ返すことなどを視野に入れているという。
続いて、AmazonジャパンでWebサービスの日本担当を務めるEmerson Mills氏が「EC2(Elastic Compute Cloud)」による仮想化/パッケージ配布を提案。同氏は「好きなだけPerlを書いてよいと言われたからAmazonに入社した」というPerl好きだ。Perlのモジュールを試したい際、インストールがうまくいかないという事態に遭遇することが多々あると思うが、これはCPANの問題というよりも、開発環境の問題だと指摘。つまり、コードの再利用はすばらしい概念だが、再利用を繰り返すことで開発環境が複雑になり、再現性が難しくなるという。これらをXenなどの仮想化技術や、EC2のような仮想サーバーを利用し、ソースだけでなくノウハウを含めた実行環境をまるごと提供することで解決してはどうかと述べた。
Mark Jason Dominus氏は、まずオープンなシステム(Unixなど)とクローズドなシステム(MS Windowsなど)を対比し、オープンなシステムはある程度の知識を要求されるが、柔軟で強力なことを主張。続いて、数式からグラフを描画することを想定して、構文解析・字句解析の実装方法を具体的に示した。自作のモジュール作成はオープンなシステムにも通じ、互換性のある部品をいくつか作ることで強力なツールになることを強調した。詳しくは、著書『Higher-order Perl』(Morgan Kaufmann Pub刊)なども参考にされたい。
Jcode.pmの製作者で、ブログ「404 Blog Not Found」でも有名な小飼弾氏は、現在開発を手掛けている「Encode.pm」に関連して、Perlでの国際化/ローカライゼーションについて触れた。Unicodeの扱いを、Python、JavaScript、Rubyといったスクリプト言語と比較し、Perlが幅広い処理に対応していることを述べ、インターナショナルなサポートに強いことを強調した。
はてなの伊藤直也氏は、Perlネットワークプログラミング再考と称し、UNIXのネットワークプログラミングの基礎や、最新のPerlのネットワークプログラミング用ライブラリ/フレームワークなどを紹介。最近はCometやActionScriptのSocket APIといった技術が出てきていることもあり、httpd以外の選択肢として、Perlを使ってSocketを捌くことを提案し、また、ある程度の規模であれば十分可能という。最近のモジュールを使うと、比較的簡単に実装できることも示した。
このようにPerl関連の情報が活発に取り交わされており、Perl技術者必見の内容となっている。講演資料や録音データも後日アップされるようなので、興味のある方は「YAPC::Asia 2007 Tokyo」のブログやWikiをチェックしておくと良いだろう。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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