金融業界のシステム開発、3つの課題
テクマトリックスのソフトウェアエンジニアリング事業部は、30年以上にわたり海外製ソフトウェア開発支援ツールの日本語化と販売を行い、現在2000社を超える顧客を抱えている。同社の豊富な支援経験から、本セッションでは金融業界のシステムモダナイズにおける課題と、テスト自動化を可能にするソリューションを中心とした具体的な解決策を紹介した。
常盤氏は、金融業界のシステムモダナイズにあたって、よく聞く課題は「3つのキーワードに集約される」と言う。「レガシーシステムの維持・刷新・更新」「サイバーセキュリティの脅威」「システム間統合」だ。
一つ目のレガシーシステムの維持・刷新・更新に関しては、COBOLなどの古い技術で運用されているレガシーシステムを、新しい技術へ移行したいというニーズが多いという。
二つ目のサイバーセキュリティの脅威に関しては、金融システムが攻撃者にとって魅力的なターゲットであり、常に攻撃の危険にさらされている点が挙げられる。そのため、サイバー攻撃の脅威をどう防ぐかは金融業界の喫緊の課題だ。
三つ目のシステム間統合に関しては、銀行の統廃合が繰り返される中で、複数のシステムを連携させる必要がある点が課題だ。また、新たなサービスを提供する際には、さまざまなシステムとのデータ連携が不可欠となるため、「難易度の高いデータ連携をどのように実現すればよいのか」といった相談も多いという。
こうした複雑な金融業界のシステムモダナイズを実現する上で、重要な考え方として挙げられるのが「モダナイズジャーニー」だ。これは、NTTデータがシステムモダナイズに携わる部門において発信しているキーワードであり、同社のWebサイト(※参考:DATA INSIGHT「脱レガシーを実現するリビルド開発手法」)でも紹介されている。

「メインフレーム上で動いているモノリシックなシステムを、いきなりマイクロサービス化するのは難しい。小さなステップを踏みながら徐々にモダナイズしていく─これが『モダナイズジャーニー』の考え方です」と常盤氏は語る。
例えば、まずはメインフレームをクラウドやオンプレミスに置き換え、そのリホストが成功したら、次にCOBOLからJavaへのリライトに着手する……といった形で段階的にモダナイズを進めていくのだ。

