はじめに
前回までに、XMLDBの概論、Cyber Luxeonの基本アーキテクチャ、Cyber Luxeonの管理ツール「DXE Manager」の基本的な操作方法、XPath、XQuery、Xmlupdategram(XUG:Cyber LuxeonのXML更新言語、以下XUG)などについて説明を進めてきました。
今回からはいよいよ、簡単なWebアプリケーションを題材として、Cyber LuxeonとJavaアプリケーションが連携する方法について説明していきます。本稿で紹介するサンプルアプリケーションは、Cyber Luxeon上のXMLドキュメントの基本的な操作(新規作成・読み取り・更新・削除)について理解することを主な目的としています。
「XMLDBアプリケーションの開発」の前編となる本稿では、サンプルアプリケーションの仕様、アプリケーション全体の設計方針について主に説明します。またそれに加えて、Cyber Luxeonを使用したアプリケーションの開発時に把握しておくべき事項である、DBへの接続形態(セッション)の種類と特徴、DBトランザクション、バインダドキュメントについて説明していきます。後編では前編の説明を踏まえ、具体的なクラス設計、そしてそれぞれのソースコードについて説明します。
またサンプルアプリケーションでは、Java SE 6から標準APIとなったJAXB(Java Architecture for XML Binding)も使用しています。本サンプルで、Cyber Luxeonで用意している接続用のJava APIとJAXBを連携させる方法についても説明します。
対象読者
XMLに触れたことがある方、RDBなどのデータベースを操作したことがある方、Javaでプログラミングをしたことがある方を対象とします。
必要な環境
- Windows XP(OS)
- Cyber Luxeon Ver2.0 Developer Edition(データベース)
- Java SE 6
- Tomcat 6.0.10
サンプルアプリケーションの仕様
概要
サンプルアプリケーションは、あるECサイトの商品データを管理するためのアプリケーションで、商品データの新規登録・検索・更新・削除処理を行います。1つの商品は1つのitem要素としてXMLに格納されます。商品データを格納したXMLの例を以下に示します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <item item_code="CEN0001"> <item_name>次世代型扇風機ハリケーン</item_name> <price>5000</price> <description> <caption>夏をより快適に、健康に過ごすために、開発された次世代型扇風機です。人類の健康を害してきたエアコンの時代は終焉を迎えます。</caption> <header>夏には大ブレーク必至。品切れ必至!!</header> <footer>今年の大ヒット商品として年末にはクローズアップされます </footer> </description> <option_name>サイズ</option_name> <options> <option>特大</option> <option>大</option> <option>中</option> </options> <reg_date>2007-04-01T22:51:43.625+09:00</reg_date> </item>
画面遷移
サンプルのアプリケーションの画面遷移を下図に示します。商品の検索機能、新規登録画面、更新画面、削除機能が用意されています。
各機能
- 商品検索機能
- 商品データ新規登録
- 商品データ更新
- 商品削除
パーティション、XMLStore、ディレクトリの作成
サンプルアプリケーションの仕様について説明したところで、環境の準備としてDXE ManagerでCyber Luxeon上に、XMLを格納する場所(パーティション、XMLStore、ディレクトリ)を作成します。作成方法は『第1回 XMLDBとCyber Luxeonの基本』の「パーティション、XMLStore、ディレクトリの作成」を参照してください。作成物とそれぞれの名前を以下の表に示します。
作成物 | 名前 |
パーティション | ec_item |
XMLStore | ec_item_xmlstore |
ディレクトリ | items |
パーティション、XMLStore、ディレクトリをDXE Managerで作成した画面を以下の図に示します。itemsディレクトリ内に商品データを格納したXMLドキュメントを保存します。
開発に必要なJARファイル
Javaから、Cyber Luxeonに接続するには、Cyber Luxeonが用意しているJava APIを使用します。このAPIはRDBでいうJDBC APIと考えて良いでしょう。クラスファイルを格納したJARファイルは、Cyber Luxeonをインストールしたフォルダの直下にある「classes」フォルダに格納されています(デフォルトでは、「C:\Program Files\CyberTech\Luxeon\classes」)。このディレクトリ内に格納されているJARファイルは次のとおりです。開発をする際には、EclipseなどのIDEで、これらのJARファイルへの参照を設定してください。
- dxebind.jar
- dxeclient.jar
- dxeconnector.jar
- dxeserver.jar