ミッション/ビジョン整合性と事業性の両立が求められる『開発Go/NoGo』
さらに受容性調査を2ラウンド×3本程度実施し、その間にも徐々にプロトタイプを磨き込み、リリースタイミングにおける仕様を定義するに至りました。それを持ってさらにビジネスサイド(営業、導入支援)の方々にもご協力をいただき、売れるものになっているのか、実際に売るという視点で価値あるものになっているのか確認を重ねました。
ここでは、これまでの他プロダクトの商談やユーザーを踏まえ、従業員数による会社規模や業種、バイヤーの特性、現状の業務フローななどをできるだけ具体的にイメージしました。そのうえで、どのような販売ストーリーだと売っていけそうか、そして使ってくれて価値を感じてもらえそうかをシミュレーションしました。
そのうえで最終的に以下4点を踏まえ、経営陣にプレゼンを行い、開発に駒を進めるべきか議論しました。
- 想定ユーザーが抱える課題
- freeeが提供する価値とソリューション
- 競合プロダクトとの比較(ポジショニング、差別化)
- 事業計画
一発で開発に進んで良いという気持ちの良い意思決定には至らず、もう一歩海外プレイヤーと国内の競合サービスをきちんと調査することになりました。
競合プロダクトの調査はホームページなどで概要を理解するだけでなく、できる限り実際のプロダクトを利用することが重要です。さらに、自社で展開しようとしているプロダクトのユーザーストーリーがどのように実現できているのかミクロの視点で確認することで、プロダクトの強みや弱みを体感することができます。新規SaaSのポジショニング、差別化要素をきちんと整理し、2週間後に再度プレゼンの機会をいただき、今回は開発投資の意思決定に至りました。
現状freeeでは新規プロダクトなど開発リソースを多くとるものには、CEO、COOの両者に確認していただくことになります。ここではfreeeとして取り組む価値があるものなのかというミッション/ビジョンの視点と、リリース後にきちんと事業として成立するのかという事業性の目線に耐えうるものになっている必要があります。字面で追うと、すんなり当然だと思えるものですが、実際やるとなるとミッション/ビジョンに整合性と事業性の双方を担保することは非常に難しいことに気付きます。
ミッション/ビジョンに関係なく、単純に儲かるもの、逆にミッション/ビジョンにはものすごくアラインしているが、全く儲からないものは比較的にすぐに見つかります。しかし、この2点は背反するケースになることが多く、両面で担保することは非常に難しいのです。
ぜひ新規事業の企画検討をされる際は、事前にミッション/ビジョンに整合性と事業性を両立できているのか確認されると、より意思決定を強固に手繰り寄せられるかもしれません。具体的にはミッション/ビジョンについてはOKRなどの目標設定で言語化し、定期的に振り返る機会を担保すること、事業性はプロダクトの仕様と事業計画を見比べながら実現可能性があるものなのかしっかりすり合わせていくことが重要です。
今後の展開
何はともあれ、開発への投資判断にこぎつけることができました。それから半年、今年4月に無事プロジェクト管理freeeをリリースする運びになりました。今回のリリースまでにMVPの確定や、大阪-東京のリモート環境における開発などさまざまなチャレンジがありました。これらを主導してくださった方々の目線から連載形式で語っていきます。
プロダクト開発に必要な全ファンクションのエースクラスの方々が協働し、極めて理想に近いアウトプットの連続が最終的にスケジュール通りのリリースに導きました。今回は私がプロダクトマネージャーの目線で拙筆を執りましたが、SaaSの立ち上げに協働してくださった全ファンクションの方々が各々筆を執り、数え切れないチャレンジをご紹介していこうと思っております。プロダクト開発に関わった方々であれば、どこか共感していただけること間違いないです。また既存ビジネスのSaaS化を推進しようとされている方々や、SaaSのビジネスサイドを支える方々にとっても、何かしらの気付きになるのではないかと思います。長旅になりますが、ぜひともお付き合いください。
次回はUXデザイナー 篁 玄太氏(Gen)が語る、開発着手に至るMVPの作り方です。ご期待ください。
