シスコのAppDynamicsはビジネストランザクションから深掘りできる
APMやEUMはSREにとって強力なツールとなる。調査可能な項目は同じでも、使い勝手はツールにより差異がある。例えばアプリケーションのフローマップを可視化すると、ツールによっては激しく複雑な表示になるものもある。どのように可視化されるか、どのように詳細を表示させていくかの操作性はSREにとって仕事の生産性を左右する。
シスコが提供しているAppDynamicsは顧客体験を軸としたオブザーバビリティが可能だ。つまりビジネストランザクションごとのトレースでアプリケーションフローを把握できる。トレースを使うことで問題のサービスを特定し、サービスのメトリック、ログ、イベントを分析して問題の原因を特定していくことができる。
実際にはビジネストランザクションの一覧で統計やヘルスステータスが分かり、そこからアプリケーションフローマップやトランザクションのトレースへと深掘りすることができる。

SREはAppDynamicsのビジネストランザクション一覧から、問題があるものを深掘りすることで業務を進めていく。例えばステータスに問題があるビジネストランザクションがあれば詳細を開き、トランザクションフローマップを表示し、さらにそのビジネストランザクション内でステータスに問題があるサービスの詳細を表示し、問題を特定することができる。またビジネストランザクションは業務トランザクションとマッピングして使うため、何らかの不具合がビジネスゴール(購入など)にどれだけ影響を与えているかも確認できる。
シスコシステムズ 関屋氏はAppDynamicsのビジネスオブザーバビリティのメリットとして次の3つを挙げる。
- アプリケーションの状態が把握しやすくなり予兆検知や原因分析に有効
- トランザクションと業務をマッピングしてビジネス部門と情報共有しやすくなる
- APMと他ITツールで連携すると、ビジネストランザクションの性能統計データで会話できる
AppDynamicsはAPIが豊富に用意されており、他ITツールとAPIで連携することができる。例えばIT運用管理「Cisco Intersight Workload Optimizer」と連携すればビジネストランザクション状態に応じたインフラのオーケストレーションができる。データセンター向け「Cisco Nexus Insights」と連携すれば、ネットワーク変更時のビジネストランザクション状態を確認できる。負荷テストツールのApicaと連携すれば、負荷テストの結果画面でビジネストランザクションの性能確認ができる。ServiceNowと連携すれば、IT管理者がServiceNowからビジネストランザクション状態を確認することもできる。可能性は大きく広がっている。
最後に関屋氏はSREを担当するエンジニアに向けて、次のようにアドバイスした。
「APMやEUMを使いましょう。今までとは異なる運用の世界が見えてきます。もし使い道に迷ったら、まずは自分たちの課題が何か考えてみてください。監視データと業務トランザクションを関連付けると、ビジネスへの影響が可視化できてSREがビジネスに貢献できるようになります」