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【デブサミ2021】セッションレポート

星野リゾートではどのようにして旅館現場出身者をIT人材へ育成したのか?【デブサミ2021】

【18-A-6】旅館運営企業で実現した現場出身者の力を活かしたアジャイル開発

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 ホテルや温泉旅館などを運営する星野リゾート。同社のシステム開発は、失敗を繰り返してきた。その原因は、開発を外注に頼っていたことや、業務のノウハウを開発に活かせなかったことだった。そこで同社は現場出身の非エンジニアをノーコードエンジニアやプロダクトオーナーに成長させながら外部のエンジニアを採用することで、変化に強くクイックに価値を生み出せる体制を構築。デブサミ2021のセッションでは、その組織作りの背景が披露された。

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上から、株式会社星野リゾート 情報システムグループ 藤井崇介氏、眞鍋悠氏、小竹潤子氏
上から、株式会社星野リゾート 情報システムグループ 藤井崇介氏、眞鍋悠氏、小竹潤子氏

外部依存で失敗した情報システム部門を立て直す

 「旅行産業は世界で最も大切な平和維持産業」という視点のもと、全国42施設のリゾート・温泉旅館・ホテルの運営を行う星野リゾート。ラグジュアリーな滞在を叶える「星のや」、温泉旅館「界」、ファミリーリゾート「リゾナーレ」、都市観光を楽しむ「OMO」など、多様な旅のニーズに応えている。

 同社の情報システム部門は、数年前は社内に5名と外部パートナーがメインの体制だった。その後デジタル変革を実現するべく、現場からの異動や中途採用を積極的に行い、現在は軽井沢、東京、京都を拠点に総勢32名のチームになっている。異なるフィールド出身者の混成チームだからこそ、互いの強みを生かして、開発・改善・インフラ構築・運用・開業支援などのタスクを遂行している。

 「社内からの要求はもちろん、ホスピタリティを追求する新たな価値の創造を目指し、日々迫りくる課題と戦い続けているので、私達は、自らのことを『戦う情シス』と呼んでいます」と語るのは、星野リゾートの情報システムグループの藤井崇介氏。受託メインの開発会社を経て2018年に入社し、現在は、エンジニアチームのリーダーを務めている。

 同社の情報システム部門は2003年に1人で始まり、施設の増加に伴い2010年には10名にまで増員した。この時期はシステム導入と外部パートナーへのシステム開発の発注がメインで、運用の負荷が高まり、開発業務に支障をきたすことになる。藤井氏は「システムを入れればそれだけ問い合わせが増えます。導入後も改善していかなければならないのですが、それに対応できなくなりました。そこで開発と運用を切り離してしまったのが大きな弊害となりました」と説明した。

 その弊害とは運用からのフィードバックがないため、システムの成長が止まってしまうこと。外部パートナー依存の体制も状況の悪化につながっていったのである。一方で運営する施設は増え続け、情報システム部門の役割は大きくなっていくため、2017年ごろから再構築が始まった。

 情報システム部門には、開発・改善・保守・運用・導入・リスク管理などのタスクが課せられているが、これを3つのチームで役割分担している。一つが社内の業務を極めて、あるべき姿に導くプロダクトオーナーチーム。運用を通じて業務を効率化し、システムを良い方向に導く運用チーム、そして3つ目は独自の取り組みを支えるシステムを開発するエンジニアチームである。今回のセッションでは、運用チームとプロダクトオーナーチームの実情が説明された。

運用チームとプロダクトオーナーチームは現場出身者を多く採用した
運用チームとプロダクトオーナーチームは現場出身者を多く採用した

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/14017 2021/05/20 11:00

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