SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

DeveloperZine(デベロッパージン)- エンジニアの意思決定を支える技術情報メディア ProductZine

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

自分の可能性を広げよう!U30デベロッパーのための「キャリアのすゝめ」

キャリアは一方通行じゃない!――上場企業の元執行役員からスタートアップの現場エンジニアになったワケ

開発ブランクは”コミュニケーション”で埋める

――ログラスに転職されたきっかけは?

 クラウドワークスを辞めてからは、いったんフリーランスになりました。最終的にはどこかの会社にフルコミットすることを考えていましたが、執行役員を経験していた私が転職活動をすると、「組織をいい感じにしてほしい」と期待をかけられることがほとんどで、現場のエンジニアとして入るのが難しかったんですね。それでは意味がない。しばらくはとにかくコードを書くしかないフェーズの小さいスタートアップに身を置くのが良さそうだと考えたんです。

 業務委託で複数のスタートアップのお仕事を並行して受ける中で、自身とのマッチ度合いを見極めたかったというのもあります。ログラスはそのときに出会ったスタートアップの1社。経営の意思決定をする上で会社の数値を集約して分析することの難しさは近くで見ていたので、ここを効率化できれば大きなインパクトになると感じました。また、初期のフェーズから設計やテストなどプロダクトの品質に関わる意識が高いメンバーが集まっていることも決め手になりました。本当は1年くらいフリーランスをしてからと思っていたのですが、結局3カ月でログラスにジョインすることになりました。

――開発のブランクが2年ほどあったと思いますが、すぐに埋めることはできましたか?

 現場を離れていた分、最新のコードの書き方など知識のアップデートをしなければならないところはたくさんありました。そこは時間をかけて集中的にやりましたね。とはいえ、お仕事として入る以上は、コストに見合ったバリューを出さなければなりません。

 ログラスでは最初の大きなタスクとしてスプレッドシートの連携機能であるアドオンのマーケットプレイス公開を担当しました。これは単に技術のキャッチアップだけでなく、仕様整理や外部のステークホルダーとの調整などプロジェクトマネジメント要素が必要になります。マネジメント経験を生かしながらエンジニアとしてのオンボーディングを進めていきました。

 また、私はずっとRubyの現場で開発をしてきたのですが、ログラスで使っているのはKotlinです。開発スタイルも変わってくるので、他の方に教えてもらいながらキャッチアップしています。その際、教えてくれる人のコストができるだけ少なくなるよう、「自分がここまではわかっていて、ここからはわからないので教えてほしいです」と細かく言語化してコミュニケーションをとったり、自分以外にもKotlinを勉強中のメンバーがいたのでモブプロを提案しチーム全体の知識の平準化が進むような取り組みをしていました。

――マネジメントをご経験されていたからこその配慮ですね。

 そうですね。自分の引き出しをフル活用した印象です(笑)。マネジメントをしていたときには、エンジニアじゃない人たちに対してエンジニアリングのことをどうわかってもらうかとか、逆にエンジニアリング以外のところを私らがどう理解するのかといったコミュニケーションに、人一倍気をつかっていました。

 それぞれの立場によって異なる観点の主張があるのが当然ですから、自分の価値観を一方的に押し付けることはしません。常に「自分の主張は間違っているかもしれない」という疑いの心を持ちながら、いろいろな人の観点をうまくつなぎ合わせて、物事を前に進めることを一番大切にしています。

2周目だからこそのおもしろさ

――若いうちにマネジメントから現場に戻るケースは、なかなかレアではないかと思うのですが、両方をご経験されたからこそ見えてきたものはありますか?

 私の考えでは、マネジメントで最も重要なのは「意思決定」だと思っています。そうなると、マネージャーは「『会社のために』こういう意思決定をするんだ」と、会社の方に体が向きがちになると思うんですね。これは一見、正しいですが、その意思決定に自分の意志が反映されていないと、「会社のリターン」と「1人の人間としてのリターン」が見合わずに、心が離れてしまいます。だから、責任ある立場にトライするときは、「事業が好き」とか「会社が好き」など、「自分がなぜそこで仕事をするのか」という金銭以外の何かしらの動機付けがあるといいのではないでしょうか。

 逆に、スタートアップは事業そのものをゼロから作り上げていくので、所有感が生まれやすいのがいいところ。先々マネジメントすることになったとしても、納得感が得られやすいだろうなと思います。それに、制度設計やカルチャーの議論など、“先につぶしておいた方がいい問題が見えている”というのは、1周してまた新たにトライするおもしろさだと感じています。

――今後の目標を教えてください。

 すごく抽象的ですが、「自分が手を動かしてつくったもので、お客さまや社会に対して大きな価値を生み出したい」というのが一番の目標です。それはプロダクト全体に占める自分が書いたコードの量かもしれないし、レビューしたコードの量かもしれない、自分が本気で取り組んだもので間接的にでも社会がよりよくなる方向に貢献したいと思っています。

――現場で技術を身につけた後は、再びマネージャーを目指しますか?

 組織の必要に応じて、という感じですね。組織が大きくなるにつれ、必然的にマネジメント機能は必要になってくるので、組織の規模感や事業のフェーズによってまたチャレンジする機会はあるかもしれません。自分にできることで組織の成長に貢献したいと思います。

――最後に、若手エンジニアの読者に向けて、アドバイスをお願いします。

 どんなチャレンジをしても、その道は一方通行ではなくて、また戻ることもできれば、経験をもとに新しい道が開けることもあります。「可能性は無限大にある!」というのが、私が自身の経験をもとにお伝えできることだと思います。マネジメントに挑戦するでもいいし、エンジニアリングを突き詰めるでもいいし、とにかく何かしらチャレンジするチャンスがあったら、ぜひご自分の心の声に従って選択してもらいたいです。

――飯田さん、貴重なお話をいただきありがとうございました!

この記事は参考になりましたか?

連載通知を行うには会員登録(無料)が必要です。
既に会員の方はを行ってください。
自分の可能性を広げよう!U30デベロッパーのための「キャリアのすゝめ」連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

 フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

2019年に翔泳社へ中途入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/14765 2021/09/16 11:00

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー