はじめに
連載の第6回、第7回では、Caché Managed Provider for .NETを使って、.NETアプリケーションからCachéを活用する手順を解説します。Caché Managed Provider for .NETは、O/Rマッピングを必要とせず、共通のAPIを使用してリレーショナルアクセスとオブジェクトアクセスを同時に実現します。前半の今回は、Caché Managed Provider for .NETの概要と使い方を説明します。
対象読者
- アプリケーション・システム開発をしている人
- データベース関連の開発およびメンテナンスをしている人
- JavaやC#でプログラミングしている人
.NETアプリケーション開発におけるCACHÉの優位性
Caché Managed Provider for .NETには、次の4つの特徴的な機能があります。
- ADO.NETのAPIによるリレーショナルアクセス
- 自動生成されるプロキシクラスによるネイティブなオブジェクトアクセス
- .NETマネージドコードによる.NET環境の利用
- マルチスレッドの.NETアプリケーション
このように、Caché Managed Provider for .NETを利用すれば、.NETが提供する機能を活用した高信頼性・高機能の.NETアプリケーション開発が可能となります。なお、Caché Managed Provider for .NETを使用するには、以下の開発環境が必要です。
- Caché 5.2以降
- Visual Studio 2005
- .NET Framework 2.0以降
ただし、本稿では、Cachéによる.NETアプリケーション開発を紹介するという主旨から、「Visual Studio 2005」ではなく、無償版の「Visual C# 2005 Express Edition」を利用します。以降に紹介するサンプルの中には、このExpress Editionでは扱えないものもありますが、ご了承ください。
CACHÉに添付されるサンプルコードの説明
Cachéには、.NETアプリケーション開発の例として、以下の5つのサンプルが添付されています。標準的なインストールをした場合、そのサンプルは「C:\Cachesys\Dev\dotnet」(Caché 2007.1では「C:\InterSystems\Cache\Dev\dotnet」)ディレクトリにあります。異なるディレクトリにインストールした際は、以降の解説の該当箇所を読み替えてください。
これらのサンプルアプリケーションは、SAMPLESネームスペースのSampleパッケージにあるクラスを使用します。下図はSampleスキーマのテーブル一覧です。
adoform
Sample.Personデータベースへのアクセスとその操作を行う簡単なプログラムです。同じ内容のものが、C#、BasicおよびC++の3つの言語で用意されています。
この3つの画面のように、Caché Managed Provider for .NETを利用すれば、3つの異なるプログラミング言語でも同じ処理を行うアプリケーションが構築可能です。
bookdemos
短いサンプルルーチンがまとめられ、簡単に修正できるテストベッドとして提供されています。
console
Caché.NETプロジェクトの最小要件を示すコンソールプログラムです。
mobiledevice
CachéClientアセンブリのモバイルバージョンで、一時的な接続を扱う方法を示します。このサンプルは、「Visual C# 2005 Express Eition」では利用できません。
objbind
ADO ProviderオブジェクトとCachéプロキシオブジェクトの両方を使用して互いを補完するコードの記述方法を示しています。