はじめに
スマホアプリを作りたいが、インストールまでの作業が面倒な場合や、ストアに出品する面倒は避けたいという場合があります。または、ブラウザで動くWebアプリでもよいが、ログインなどの認証で利用者が煩わしくならないようにしたいという要望をよく聞きます。
最近の利用者、特に学生などの若者がサービスの対象の場合には、電子メールを利用しない、または自分のメールアドレスというものを意識しないという人もいます。そのような場合、サービス側からのメッセージを利用者に伝えることが難しくなります。
このようなケースで最近、利用されるのがLINEアプリです。しかし、「LINE」は身近であるものの、LINEアプリの開発者目線でのサービス内容についてはあまり良く知らないという方も多くいると思います。そこで、本稿ではLINEアプリを作る上でのサービスの仕組みや、実際にシステムを作る上での方法について紹介します。
LINE上でアプリを作る利点とニーズ
まず、最初に大きな注意点としてはLINEアプリは、ネイティブアプリやWebアプリと完全に代替できるものではありません。しかしながら、図1のように利用用途によっては従来のアプリよりもメリットがある場合も多くあります。
特に、サービス提供側にとってはアプリを審査せずに公開できるのはメリットがあります。また、同様なメリットはWebアプリにもありますが、URLが分からない、ログインが面倒である、通知ができない(iOSの場合)などさまざまな制限もあります。ネイティブアプリであっても、利用者が通知を受け取る設定にしてもらえるかはまた別の問題になります。
特にユーザが頻繁に利用するサービスでなく、たまに利用するという場合、図1のような課題は多く発生することがあります。
しかし、LINE上で動くアプリであれば、利用者がLINEの使い方を知っていればよいというメリットがあります。また、通知設定をOFFにされていても、送信したメッセージがLINEを通じて送信されるので見逃されてしまうというリスクも少なくなります。
つまり、利用者の友人がLINEにメッセージを送ってきたタイミングでメッセージに気がついてもらえる可能性もあり、より利用者にメッセージが届きやすいということです。
そして、そのメッセージでは画像やボタンを含めることができ、メッセージを読んだ利用者が次に望む操作のみを記すことができます。したがって、利用者が間違えることなく利用しやすいというメリットもあります。
このように、LINEアプリは、LINEメッセージと連携することで通常のアプリとは違った特徴を出すことが可能になります。また、宅配における再配達受付のような、ごく限定した機能を提供するような場合でも、利用者にとって大きな負荷なく利用を始められるのもメリットの1つです。
LINEサービスの概要
ここでは「LINEアプリ」と記していますが、実際には「LINEアプリ」という機能が存在するわけではありません。実際にはLINEが開発者に提供している表1のような機能を利用して作成しています。
機能名 | 説明 |
---|---|
LINEログイン | LINEアカウントと連携する場合に利用する機能。最も基本的なサービスの1つ |
Messaging API | LINEのメッセージ送信や受信機能。利用者への自動メッセージ送受信をするBOTを作成する場合などに利用 |
LINEミニアプリ | QRコードなどを用いてLINEアプリ外からLINE内のWeBアプリを利用する為の機能 |
LINE Things | 他のLINEサービスとデバイスを連携させるためのサービス。Bluetoothデバイスと連携したサービスが構築可能 |
LINE Pay | LINE Payを使った支払サービス |
ブロックチェーン | ブロックチェーンを使ったサービス。LINEサービス上で、チケットやポイントなどのサービスが作成可能 |
LINEアプリ開発時によく利用されるのが「LINEログイン」「Messaging API」「LINEミニアプリ」です。これらの機能は多くのWebサービスで必要な機能の代替機能でもあり、また、既に多くのLINE利用者がすでに利用している機能です。
そこで、本稿ではこの3つの機能について紹介します。