デジタル人材はコンサルティングファームで何をしている?
そんな三者の座談会は、「戦略コンサルティングファームの『デザイナー』『アーキテクト』『プロダクトマネージャー』って何をしているの?」というテーマからスタートした。
まずエクスペリエンスデザイナーの村山氏は「アイディアをビジュアルで可視化すること全般を担っている」と語り、「主な役割は、まず一般的なUI/UXデザイナーとしてイメージされるデジタルプロダクトの画面や体験の設計が軸になるが、プロダクトを作る過程で、専門家やユーザーへのインタビューを通じて得られた仮説やアイディアの種をスピーディにビジュアル化してチーム内やクライアントとの議論を加速させ、最終的なプロダクトへと磨き上げていく。そうした”プロセスにおける貢献”についても、最終的なプロダクトとしてのアウトプットと同様に大切だと考えている」と説明した。
可視化するという意味では、グラフィックはもちろんのこと、ユーザーストーリーや世界観をイラストで表現したり、インタビューのサマリー映像を作ったりというように、表現方法は多岐にわたる。村山氏は「自分の得意な表現手法が活かせると同時に、実践しながら新しいスキルも身に付けられる環境にある」と語った。また、業界の特性上、クライアント向けの資料作成も重要な仕事であり、限られた時間でチームのアイディアを適切かつ魅力的にクライアントに伝える責任は重く、日々背筋が伸びる想いだという。
そして、アーキテクトの岡氏は、「SIerなどではインフラ周りを想像されるかと思うが、BCGでは戦略コンサルタントが描く経営・ビジネス戦略を実行に移すためのIT戦略やアーキテクチャーを実際に企画する仕事」と紹介する。いわば、BCGのチームとしてビジネス部門とIT部門が連携するために、ややビジネス寄りから”重なる部分”を担う役割と言える。
岡氏は、「机上で描かれた戦略を実行に落とす、つまり、価値を実現するためにどのようなITを作るべきかを考える仕事」と表し、「コンサルタントに近い部分もあり、最終的にはクライアントのバリューを最大限にするITを描くために、役割を問わず柔軟に動いていく必要がある」と語った。
近藤氏はプロダクトマネージャーの仕事について、「アーキテクトと同様、コンサルとITの架け橋をする役割」と語る。しかし、”プロダクト”を持たない戦略コンサルティングファームで何をマネジメントしていくのかと不思議に思う人もいるだろう。まだ日本企業ではプロジェクトマネジャーやビジネスオーナーなどとの役割の違いも理解されておらず、あまり浸透していない役割といえる。
「そこで、プロジェクトを共に経験しながら、デジタル人材の仕事や価値を知ってもらうことを重視している。たとえば、どのようにプロジェクトをデザインするとUI/UXデザイナーやエンジニアが活躍できるか、働きやすいかを理解してもらう。そのサポートがプロダクトマネージャーの役割の1つと考えている」と語った。