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技術的負債に直面しているエンジニアへ。返済に向き合い続けて得たものとは

【B-3】技術的負債に向き合い続ける姿勢は、スキル幅の広がりにも繋がる話

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 コドモンの主要サービスである保育・教育施設向けICTサービス「コドモン」は、2014年にβ版としてリリースされた。たくさんのユーザーにご利用いただく一方で、多くの機能追加を経て仕様を把握して改修するコストが高い状態になり、ユーザーに安定して素早く価値を届ける難易度が上がっていた。そのため、増加ペースに対して、ユーザーの課題解決に使う時間が徐々に増えづらくなっていったという。だが、技術的負債の解決に自ら取り組みたいエンジニアは少ない。そんな中で技術的負債の解決に取り組んだのが西銘承太郎氏である。より安定したプロダクトをユーザーに届けるため技術的負債に向き合うことで、西銘氏はスキル幅を広げることにつながったという。組織やプロダクトを良くしたいという思いは持ちつつも、技術的負債に尻込みしている全ての方に向けて応援する意味で、いったいどういうことか。その理由を語ってくれた。

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仮説検証に潜んでいた技術的負債とは

 コドモンは「子どもを取り巻く環境をテクノロジーの力でよりよいものに」をミッションに、幼稚園や保育園・学童・小中学校といった施設で働く職員の業務を省力化し、子どもと向き合う時間と心のゆとりを作り出すICTサービス「コドモン」や、保護者とこども施設のコミュニケーションを支援するモバイルアプリケーションなどを開発、提供している。メインプロダクトである「コドモン」は2014年にβ版、2015年に正式版をリリース。現在全国300自治体で採用され、1万3000もの施設に導入されるなど、着実に成長を続けている。ミッションに基づき、他にも保育者向け研修サービス「コドモンカレッジ」、採用・保活支援サービス「ホイシル」、全ての先生を応援する優待プログラム「せんせいプライム」、保育施設向けECサイト「コドモンストア」などの事業を展開している。コドモンの社員数は219人で、プロダクト開発チームは約40人のエンジニアと15人ほどのデザイナーやPdMなどで構成されている。

 2020年まで、コドモンでは早くたくさんの機能をつくることを最優先に開発してきた。2019年にコドモンに入社した西銘氏もバックエンドやフロントエンドの開発に携わっていたという。しかし、技術的負債を多く抱えていたことから、2020年より既存のプロダクトを保守しながら、機能単位でのリプレースを加速させるなど、プロダクトを刷新していくフェーズを迎えている。そのような中で、西銘氏は技術的負債の返済に向き合ってきたという。

 「技術的負債の返済も長期的にプロダクトを良くすることにつながる」と西銘氏は言う。もちろん、プロダクトを良くすると一口に言ってもさまざまな方法がある。「ユーザーにとっての本当の価値」を仮説検証して積み上げることもその一つである。

 例えば「ダッシュボード画面のデザイン変更」という要望があったとする。一般的な仮説検証の流れでは、コードの改修は表示関数を修正すれば良いという前提で、ユーザーが喜ぶデザインはAとBのどちらかという仮説が成り立ち、検証を行い、その結果をプロダクトに反映する。だが、コドモンの場合は、「表示関数を修正すれば良い」という前提がそもそも成り立たず、「前提じゃなかった前提」を追加で修正・検証しなければならない状況が課題としてあったという。つまりコドモンでは本題の仮説検証に至るためには、1~2ステップ多い状況になっていたのだ。この既存プロダクトの「前提じゃなかった前提」こそが、コドモンにおける技術的負債というわけだ。

コドモンでの仮説検証の流れ
コドモンでの仮説検証の流れ

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コードの改善からSREまで、負債に向き合うことで得たスキル

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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