Microsoftは、Windows環境でLinuxを動作させる互換層「Windows Subsystem for Linux(WSL)」の最新版となる「バージョン2.0.0」を9月19日に公開した。バージョン2.0.0では、WSLが使用しているメモリやストレージを使用状況に応じて自動的に縮退させ、空いた分をWindowsに返す機能などが加わった。今回加わった機能はいずれも「実験的」という位置付けになっており、使用するには設定ファイル「.wslconfig」を編集する必要がある。
メモリを縮退させる機能を利用するには、.wslconfigファイルの「autoMemoryReclaim」という項目を「gradual」あるいは「dropcache」に設定する必要がある(初期設定値は「disabled」)。gradualに設定すると、WSLのプロセッサ使用率が5分間低いままで推移したときに、自動的にキャッシュ・メモリを解放し始め、解放したメモリはWindowsに返す。dropcacheに設定すると、プロセッサ使用率が低くなったらすぐにメモリを解放し、Windowsに返すようになる。
ストレージを縮退させる機能を利用するには、.wslconfigファイルの「sparseVhd」という項目を「true」に設定する必要がある(初期設定値は「false」)。WSLが使用する仮想ストレージ(VHD)は、使い続けると自動的に容量が大きくなっていくが、この設定変更で、ストレージの消費量が減ると、ストレージのサイズを自動的に縮退させるようになる。
ネットワークにも新機能が加わった。従来、WSLのネットワークはアドレス変換(NAT:Network Address Translation)が基本となっていたが、今回の新バージョンで.wslconfigファイルに加わった「networkingMode」という項目を「mirrored」に設定すると、WSLがWindowsと同じIPアドレスを使うようになる。ローカル・ネットワーク内の別のコンピューターから、WindowsのIPアドレスを指定することで、そこで動いているWSL環境にもアクセスできるようになる。さらに、IPv6にも対応するようになる。
今回の新版ではこのほかにも、「実験的」という位置付けで新しい機能がいくつか加わっている。さらに、不具合の修正や改良が合計で19点入っている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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