Amazon Web Services(AWS)は、東海旅客鉄道(JR東海)が次世代のリニア中央新幹線におけるデータドリブンな運営に向けて、新たに山梨リニア実験線でAWSの活用を開始したことを、6月21日に発表した。
リニア中央新幹線は、超電導リニアによって東京・名古屋間を最速40分、東京・大阪間を最速67分で結ぶ次世代の高速鉄道サービス。山梨リニア実験線でのIoT、機械学習、生成AIといったAWSサービスの活用を通じて保全業務の効率化・省人化を進めることで、業務改革およびコスト削減を推進するとともに、データと最先端テクノロジを活用したリニア中央新幹線のデータドリブンな設備保全を目指す。
超電導リニアでは、運転士が乗車して列車の速度を制御する方式ではなく、地上から列車を遠隔制御する高精度・高信頼の「自動運転システム」が採用されており、運行に関わる車両と地上設備の全情報がデータ化され、すでに運行システムといった多くのシステムが連携している。車両と地上設備のリアルタイムでの状態監視と機械学習を活用した状態監視保全や予知保全を実現して、高い安全性と快適性を兼ね備え、効率的で省人化された次世代高速鉄道サービスの実現が必要となる。
山梨リニア実験線では1月に、AWS IoTサービスなどを活用してリニア車両の走行に不可欠な送電設備や、始発列車走行前に沿線を点検するための電動保守用車の状態データを取得し、状態監視〜データ分析までの一連のプロセスを検証する概念実証(PoC)が開始された。同実証では、故障発生時の対応早期化や蓄積データを分析して、故障予兆の検知に活用されている。
具体的には、送電設備の異常を識別する機械学習モデルを、Amazon SageMakerを利用して5か月で構築し、Amazon QuickSightで可視化することによって、重篤な故障に至る前に異常予兆を捉えて、保守作業を実施できるようになった。
今後は、AWS Professional Servicesによる支援のもと、IoT化の対象設備やデータの幅を拡大して、機械学習技術を用いた分析のユースケース拡大を予定している。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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