企業収益に直結する開発者体験4つのポイントとは?
企業がデジタルチャネルを通じて顧客と接点を持ち、情報収集や購買、会員登録などさまざまなコミュニケーションを行うようになってきた。そこで成果をあげるには、快適さや楽しさといった「顧客体験」という視点と、それを支える機能的かつ魅力的なデジタルコンテンツやツールの活用が欠かせない。
事実、フォレスター社の調査では、デジタル技術を活用して顧客体験の変革を進めている企業は、リテンション率、リピート購入率、平均注文額などが1.9倍、顧客のLTV(Life Time Value)も1.5倍にも高まり、収益成長が1.7倍になったという結果が出ている。
つまり、Developer Experience(開発者体験)が良くなれば、顧客体験も含めデジタルチャネルの生産性も向上する。そう考えるのは自然のことといえるだろう。
そもそも「開発者体験」とは、GitHubのブログによると「ソフトウェア開発の効果性に影響を与えるシステム・技術・プロセス・文化の総体」を指す。DevExとも記され、4つの要素から成り立っている。
まず1つめの大事な要素として、いかに素早く簡単にコードベースに変更を加えられるかという「Productivity=生産性」が上げられる。コードがあまりに厳しく管理されていて、複雑な構造で理解できないとなれば、開発者にはあまりに大きなストレスだ。
2つめは、世の中に対して影響を与えるかという「インパクト=世の中への影響力」だろう。ビルドやデプロイに手間がかかる、面倒な申請をする必要がある、社内プロセスを通す必要があるなど、既存のモノに手をいれるのはさまざまな障壁がある。しかし、それらをスムーズにクリアして、自身が手掛けたものがスピーディに世の中に展開し、影響を与えられるのは大きなやりがいとなる。
そして3つめは、環境やワークフロー、ツールなどが開発者に与える「Satisfaction=満足度」だ。前述の2点より主観的ながら、心地良いツールを使って心地良い職場環境で働くことが開発者のパフォーマンスや満足度につながっていく。
最後4つめが「Collaboration=連携性」だ。これについては少し特殊なものになる。これまでの3つはそれぞれ改善することで、足し算的に開発者体験が改善される。しかし「Collaboration」は、良ければ乗数的に効果は高まるが、悪いとすべてが台無しになる。
宮田氏は「コラボレーションはやはり大事なこと。開発者間でも相互にアイディアを出したり、レビューしたり、切磋琢磨できれば喜びを感じる。デザイナーとかマーケターなど開発部門以外についても、修正が来て素早く応えることで喜んだ顔が見られると嬉しいもの。それぞれの強みを生かしたワークができる状態は喜びを増幅させる。私自身にもその実感がある」と語った。