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トヨタが考えるアジャイル開発とは?

トヨタ式アジャイル開発! モブプログラミングを取り入れて開発を効率化させるヒント

トヨタが考えるアジャイル開発とは? 後編

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トヨタにおけるモブプログラミングの導入と効果

──モブプログラミングを導入しようと思った理由や経緯を教えてください。

川口:モブプログラミングの利点は「みんなで一気にやると早い」ということです。1人で作業すると非効率なものだと特に効果があります。

南野:まず、私たちはハードウェアアジャイル研修で11個の手法を学びました。そのなかでもハードウェア設計ですぐに採り入れられそうな4つの手法を電気モーターのチームで試したところ、特にモブプログラミングが有効だと分かり導入を決めました。

竹内:チームメンバーは10人前後で、社外から委託で来ている若い人が多いです。いろんな知識を共有しながら新しいことを進めるので、互いに学習する必要がありました。

川口:モブプログラミングを実践する時のポイントは、1点目は全員が同じものをリアルタイムで見られるように大きなディスプレイと座席配置が必要になります。2点目はCAD画像や検討資料など一緒に作成したいものを見ることです。一般的に会議では参加者の顔を見ますが、そうではないということです。

 3点目はワークプレイスの隅にモブプログラミング用のスペースがあり、誰でも参入可能となることです。みんなが見えるところでやる。4点目は全員フロントランナーである必要はなく、気になる内容になればふらっと後ろから聞いてもいい。それでも共有になります。5点目はマネージャーやリーダーも参加できて、その場で判断やアドバイスができるということです。

アギレルゴコンサルティング 川口恭伸氏
アギレルゴコンサルティング 川口恭伸氏

南野:結果的にモブプログラミングが日常化すると「モブりますか!」が会話で飛び交うようになりました。

──トヨタにとってモブプログラミングが良かった点は?

南野:一般的にチームに新人を入れると指導や育成が必要になり、新人の技能が皆に追いつくまでは生産性や品質が低下することがこれまでの課題でした。モブプログラミングは1つの仕事を複数人でやるので「生産性が落ちるのでは?」と思えてしまいます。

 ところがアジャイル環境など、新しい取り組みが連続する環境において、モブプログラミングは同じ脳みそが複数いるような状態になるので必要に応じてぱっと分割できる。人員補強で新人が入っても、複数のベテランが新人を育てながら進めるので、生産性や品質も維持できます。そう考えるとメリットがあるなと思えるようになりました。

竹内:実際に効果測定すると、業務時間の短縮が実現しました。従来、部品出図時には担当から、チーフ、グループ長、ユニット主査へと段階的に提出してフィードバックをもらっていましたが、モブプログラミングで進めると関係者が同時に作業を進め、リアルタイムでフィードバックが得られるので作業時間が半分以下になるなど大幅な時間短縮ができました。

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アジャイル開発を取り入れるためには

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

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小玉 莉子(編集部)(コダマ リコ)

 2022年に新卒で翔泳社へ入社し、CodeZine編集部に配属。 公立はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科卒。

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鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

2019年に翔泳社へ中途入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

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