Windowsの機械学習向けAPI「DirectML」が「Copilot+ PC」に対応、WebNNも利用可能に

　米Microsoftは、Windowsが備える機械学習向けAPI「DirectML」が、米Qualcommの「Snapdragon X」シリーズに対応したと8月29日（現地時間）に発表した。DirectMLはWindows PCが備えるGPU（Graphics Processing Unit）の機能を機械学習向けに抽象化したAPI。これまでは米AMDや米Intel、米NVIDIAのGPUのほか、QualcommのSnapdragon SoC（System on Chip）が備える「Adreno」GPUに対応していた。

　今回の更新によって、QualcommのSnapdragon Xシリーズが持つ「Hexagon NPU」も機械学習の処理に利用できるようになった。Snapdragon Xシリーズで動作する機械学習プログラムを作るには、DirectMLのバージョン1.15.2以降（64ビットArm版）が必要。さらに、Open Neural Network Exchange（ONNX）ランタイムのバージョン1.18以降（64ビットArm版）と、Hexagon NPUのデバイスドライバー（バージョン30.0.31.250以降）が必要。OSは、Windows 11のバージョン24H2以降が対応する。

　ただし、現時点では実行できる機械学習モデルが35種類に限られるなどの制限がある。35種類のモデルはMicrosoftがONNX形式に変換して、Hugging Faceのレポジトリで公開している。ほかのモデルを実行しようとするとエラーが発生するが、Windowsの設定を変更して、「開発者モード」にすれば、ほかのモデルを試すことも可能だとしている。

　また、今回の更新で、WebNN（Web Neural Network）の開発者プレビューを、Snapdragon XシリーズのHexagon NPUで動作させることも可能になった。WebNNとは、W3C（World Wide Web Consortium）が標準化を進めているJavaScript APIで、WebアプリケーションからGPUやNPUを利用して機械学習モデルを高速に実行する仕組みを提供するものだ。Windows上のWebブラウザは、WebNNのAPI呼び出しをDirectMLのAPI呼び出しに変換して、機械学習モデルを実行する。

　WebNNのプログラムを実行するには、上記のソフトウェアのほかに、Microsoft Edgeの「Dev」チャンネル、あるいは「Canary」チャンネルが必要になる。さらに、Microsoft Edgeのアドレスバーに「about://flags」と入力してEnterキーを押し、開いた設定画面で「Enables WebNN API」の項目を「Enabled」に変更しなければならない。

　ちなみにMicrosoftは、最新の「Copilot+ PC」の要件として、40TOPS（Tera Operations Per Second）、つまり毎秒40兆回の演算が可能なNPU（Neural Processing Unit）を搭載していることを挙げている。QualcommのSnapdragon Xシリーズは45TOPSの性能を誇るHexagon NPUを搭載しており、Copilot+ PCの要件を満たしている。