米Microsoftは、表計算ソフトウェア「Microsoft Excel」にPython実行環境を統合した「Python in Excel」の提供を9月16日(現地時間)に開始した。Microsoftは2023年8月にPython in Excelをプレビューとして公開し、検証を続けてきたが、ようやく正式な機能として提供することになった。
Python in Excelでは、ExcelにPython実行環境である「Anaconda」を組み込んだ。新設の「PY」関数を使って、セルにPythonプログラムを書き込むと、クラウドでPythonプログラムを実行する。クラウド上の実行環境は結果をクライアントのExcelに返す。Python向けの各種ライブラリも使用可能で、「Matplotlib」を使えば、データをグラフなどの形に視覚化でき、「Pandas」を使えばデータ解析が容易になり、「NLTK(Natural Language Toolkit)」を使えば、自然言語処理もできるようになる。
そして、プレビューの段階では利用できなかった、Pythonの構文に合わせてコードを色分け表示する機能や、コードの自動補完機能も使えるようになった。さらに、Visual Studio Codeのような広い画面でPythonコードを入力できる「Python Editor」も提供する。
Python in ExcelにAIの機能を組み合わせた「Copilot in Excel with Python」の提供も始めた。これは「Microsoft 365 Insiders」プログラム参加者に提供する。この機能を利用すると、やりたいことを自然言語で表現して入力するだけで、AIがコードを考え、セルに自動的に入力して実行結果も表示する。
Python in Excelでは、PythonコードをMicrosoftのクラウドで実行するが、ユーザーが入力したコードが外部に漏れるなどの事故を防ぐために、Microsoftはコードの実行環境をユーザーごとに分離したコンテナで管理する。
Python in Excelは、「Microsoft 365」サブスクリプションサービスの「Business」と「Enterprose」のどちらかを契約しているユーザーに提供する。サブスクリプション契約を持たないユーザーに向けては、「Python in Excel add-on」サブスクリプション(1ユーザー当たり月額24米ドル)を新たに用意した。このサブスクリプションを利用すると、クラウド上のPython実行環境として、より高速なものを利用でき、Pythonコードを部分的に実行するなどの機能も使えるようになる。
現在のところPython in ExcelはWindows版のExcelのみで使用できる。ただし、macOSやWebなど、他の環境で動作するExcelにも、今後Python in Excelを実装していく。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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