構成を検討する方法
まずは、並べ替える情報がないことには話が始まりません。ここでは第1回の記事を参考に、必要な情報がある程度揃っていることを前提にします。
情報がある程度揃っている状態として、まずはどのような順番で説明するかを考えたいところです。私の場合は、以下の(A)(B)(C)をよく気にしています。
パターン | 適応シーン | 特徴 |
---|---|---|
(A)概要から詳細 | 全体像を先に示すと理解しやすい場合 | 読者が全体像を把握してから詳細を理解できる |
(B)時系列 | 手順や操作を説明する場合 | 実際に何をすればよいかがわかりやすい |
(C)重要度の変化 | 優先順位が明確な場合 | 最も重要な情報が先に伝わる |
この観点で生成AIにチェックしてもらえるようにプロンプトにまとめました。このプロンプトをぜひ一度試してみてください。
プロンプト例:
これからドキュメントを作成しています。あなたは経験豊富なテクニカルライターとして、大まかな文章の構成についてアドバイスをお願いします。考慮する点は以下の「対象読者」と「構成を考えるヒント」で説明されている内容です。
## 対象読者
(ここに対象読者像を書きます。例:このドキュメントの読者は、テクニカルライティングには詳しくないが、関係者に読んでもらうドキュメントを書く必要がある人です。読者は関係者に伝えるべきもっとも重要な情報を正確に書くことができますが、関係者と彼が持つ知識には少しギャップがあるために「わかりにくい」とか「もう少し説明してほしい」と言われることがあります。)
## 構成を考えるヒント
ということで、情報がある程度揃っている状態として、まずはどのような順番で説明するかを考えます。具体的にはどのように考えるとよいでしょうか。私がよく使うパターンは、以下の3つです。いずれか一つを適用するとよいでしょう。
###(A)概要から詳細へ(詳細度の変化)
一つ目のパターンは詳細度の変化を意識して説明する方法です。まずは、説明することの全体的な要点や大まかな内容をまとめたものを説明し、徐々に詳細に説明していくパターンです。たとえば、東京駅から広島駅に移動する方法を説明するときに、「今回は飛行機を使う方法を説明します。東京駅からアクセスしやすい羽田空港から、広島空港へのフライトを利用しましょう。具体的には羽田空港9:20発の…」というように説明する方法です。
「飛行機を使う方法を説明します。」の部分を「概要」とし、「東京駅からアクセスしやすい羽田空港から、広島空港へのフライトを利用しましょう。」は少しだけ詳細な情報、「具体的には羽田空港9:20発の…」の部分はより詳細な情報になるイメージです。
###(B)行うことを順番に(時系列)
二つ目のパターンは時系列で説明する方法です。事象が発生する順番に説明する方法ですね。ソフトウェアの操作手順を説明するケースではこのパターンに準じるとよいでしょう。
東京駅から広島駅に移動する方法だと、東京駅にいることを前提として「東京駅から浜松町駅に移動し、東京モノレールに乗り換えて羽田空港第1・第2ターミナル駅に移動します。…」のように説明します。
やらなければいけないことを順番に説明していくので、これだけでは全体像が見通しにくくなるものの、現時点で何をするかはわかりやすくなるでしょう。
###(C)重要な情報から些細な情報へ(重要度の変化)
三つ目のパターンは重要度を重視する方法です。たとえば、読者にとって最も気になるポイント(重要な情報)を先に説明し、その後に些細な情報を説明します。たとえば、議事録や会議メモなどで、どうしてもその会議で話をしなければいけないものを先に書き、時間があったら話せばいい内容は後ろのほうに書く、といったケースがこれにあたります。
東京駅から広島駅に移動する話だと、本来の目的は広島駅に希望する時間に到着することなので、出発時刻と到着時刻が重要と考えられるでしょう。その場合は「東京駅を 7:50 ごろに出発し、広島駅に 12:00ごろに到着するルートを説明します。具体的には、羽田空港9:20発の…」のように説明することになります。
現在の原稿は以下のとおりです。この原稿の場合は、(A)(B)(C)のどの方式がよさそうですか。1つの方式を全体的に適用し、残りの2つは部分的に適用できる可能性があります。
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(ここに原稿を貼り付ける)
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これで、プロンプトに書かれている(A)詳細度、(B)時系列、(C)重要度の観点で生成AIがアドバイスを出力してくれます。アドバイスに従って情報を並べ替えてみましょう。
アドバイスの意味がよく分からなかった場合は、具体案を出してもらうように指示するとよいでしょう。
また、新たな観点を(D)(E)(F)……という形で追加していけば、生成AIが確認してくれるポイントが増え、より一層高度なアドバイスを受けられるようになるはずです。