IDC Japanは、国内IT市場における産業分野別/従業員規模別最新予測データを、1月15日に発表した。2025年の国内IT市場規模は、前年比8.2%増の26兆6412億円、2023年〜2028年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は6.3%、2028年の国内IT市場規模は30兆2176億円と予測している。
2024年は急激な円安、原材料価格高騰、人件費高騰によって一部の産業分野の企業で収益が悪化している一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束して、観光、インバウンド需要も回復傾向にあることから、関連する産業分野の企業では業績が回復した。2025年も引き続き国内外の経済は堅調に推移するとみているものの、今後の国内経済をみると人材不足、少子高齢化による需要減速が進展すると懸念される。
このような状況の中でも着実に企業成長を図るべく、生産性向上、新たなビジネスモデル構築が求められており、多くの企業でデジタル化/DX推進を目的としたIT支出を拡大させている。これは各従業員規模で共通であり、特にSMB(Small and Medium-sized Business:中堅中小企業)では、2023年に施行された「インボイス制度」、および2024年から施行された電子帳簿保存法といった法規制対応などを契機として、デジタル化/DXの取り組みが本格化しており、単なる生産性向上の取り組みから、顧客サービスの改善などに範囲が拡大している。
産業分野別でみると、2024年および2025年は各産業分野でプラス成長となっており、とりわけ情報サービス業ではデータセンター投資が増加していることから、2024年は11.7%、2025年も6.1%と高い成長率での拡大が予測される。
流通/サービス業では新型コロナウイルス感染症の感染拡大収束による個人消費、インバウンド需要の本格化を受けて、多くの企業で業績が改善している。これらの分野では人材不足も深刻化していることから、デジタルを活用した業務効率化が進められるとともに、リアル/オンラインのチャネルを問わず優れた顧客エクスペリエンス提供を目的としたIT支出が堅調に拡大しつつある。
製造業では、大企業を中心に製造オペレーションやサプライチェーン強靭化、生産性向上、顧客エンゲージメント、研究開発の高度化といった目的で、デジタル化/DXの推進のためのIT支出が継続しており、その他の産業分野の企業でも多くが人材不足を喫緊の課題とし、中長期的には国内の需要は伸び悩む見通しであることから、生産性向上、デジタル化による収益拡大を目的にしたデジタル化/DX を本格化させている。
これらの施策を円滑に推進させるべく、既存システムの抜本的見直し/モダナイゼーションを目的としたIT支出を拡大させる企業が増える傾向にある。また、多くの企業が生成AIといった最新テクノロジの活用を開始している。
多くの企業がデジタル化/DX推進を開始している一方で、これらプロジェクトの本格展開段階にあたって、既存のレガシーシステムの存在が障壁となるケースも少なくない。SMBを含めて多くの企業で既存のレガシーシステムの刷新、インフラ見直しが必須となっているものの、システム刷新にはオープン化だけではなくクラウドシフト、ハイブリッドクラウドなどの方法があるほか、レガシーシステムのオープンシステムへのマイグレーションなどのプロジェクト推進には大きなリスクが存在する。
IDC Japanは、こういった状況を受けて、ITサプライヤはユーザー企業のモダナイゼーションニーズに対して、単純にオープンシステムへのマイグレーションを提案するのではなく、まずは各ユーザー企業の抱える既存システムの状況、ニーズの把握を行うことによって、システム刷新に最適なインフラストラクチャの提案とともに、システム移行、運用までの包括的なサポートが求められている、と分析している。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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