Exa Enterprise AIは、創業30年以上かつ従業員数300人以上の企業を対象に実施した、「日本の伝統的大手企業におけるAIの自社開発やツール導入・活用調査」の結果を、6月4日に発表した。同調査は、5月8日〜10日の期間に行われ、410名から有効回答を得ている。
調査対象の企業に、生成AIの自社開発にかかった投資総額を尋ねたところ、平均額は3165万円となった。一方で、開発した生成AIの投資対効果(ROI)を尋ねた質問では、300%以上の高いROIを達成している企業は17.6%に留まっている。

自社開発したAIは実用化されたかを尋ねたところ、「実用化に至らなかったものがある」という回答が7割に達した。開発がうまくいかなかった後に、他のAI開発を検討・実施したかを尋ねた質問では、「検討し、開発を実施した」という回答が2割に留まっている。

自社環境の開発・運用体制について、あてはまるものを選んでもらったところ、常時追加改修が困難な企業が5割超を占めた。現場における運用開始から何か月後にアップデートを実施したかを尋ねた質問では、開発後に1年以上アップデートしていないという企業が約3割に達している。

成果の出たプロンプトのナレッジ化や共有を、どの程度行っているかを尋ねたところ、「共有する仕組みがない」とする企業が6割超を占めた。社内向け環境のWAUは、社内利用対象者全体の何%程度かを尋ねた質問では、平均33.2%で、WAUを把握していないという企業も3割に達している。

生成AI SaaSのAIツールへの年間支払総額を尋ねたところ、平均は1445万円となり、自社開発の半分以下となった。生成AI SaaSのAIツールへの投資効果を尋ねた質問では、300%以上の高いROIを達成できている企業は16.6%に留まっている。

生成AI SaaS導入に要した時間は平均6.1か月で、300%以上の高いROIを達成できている企業における導入に要した時間は平均5.3か月と0.8か月短かった。

生成AI SaaS導入にあたって、もっとも時間のかかった手続きを尋ねたところ、「情報セキュリティの対応」や「社内体制整備」が上位となっている。300%以上の高いROIを達成できている企業に限定してみると、「製品比較・検証」が多かった。

生成AI SaaSのAIツール(議事録作成ツールなどを含む)の導入件数を尋ねた質問では、平均導入件数は5.5件で、300%以上の高いROIを達成できている企業では平均7.9件となっている。

生成AI SaaSのAIツールがカバーしている業務としては(複数回答)、「社内問い合わせ対応」が6割、「企画・開発等業務」が4割となっている。300%以上の高いROIを達成できている企業では、これらの業務に生成AI SaaSのAIツールを導入している例が多い。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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