開発者は複数のAIエージェントのオーケストレーターに
AIエージェントの魅力的な点のひとつは、開発者の可能性を拡大し、より迅速な開発を実現できるようにすることにあります。GitHub Copilotのエージェントモードを使ったことがある方なら、この感覚をすでに体験しているかもしれません。
GitHub Copilotのエージェントモードは、開発者がコードを書くエディタ内で直接動作します。まるで隣の席の同僚に「ちょっとこれ、代わりにやってもらえる?」と頼んで、自分のキーボードを一時的に預けるようなイメージです。GitHub Copilotのエージェントモードは、コードベースを解析して全体の文脈を理解し、複数の手順からなるソリューションを計画・実行できます。また、コマンドやテストの実行、専門的なタスクのための外部ツールとの連携、さらにはアーキテクチャ改善の提案までも行うことができます。また、プロンプトを与えると、AIエージェントが主導権を握って問題解決に取り組み、定期的に進捗状況を共有しながら作業を進めてくれます。
具体的にAIエージェントがどのようなことができるのか見てみましょう。
まず、プロジェクト全体のファイル構成や既存コードを読み込んで、現在の状況を把握します。そのうえで、複数のステップにわたる修正やリファクタリングが必要な場合、事前に作業の手順を計画として提示します。計画に問題がなければ、実際に変更を適用し、テストを実行して、結果を見ながら次の処理を進めます。もし意図が曖昧だったり判断に迷ったりした場合は、その都度確認を求めてきます。
このように、計画→変更適用→テスト→改善という「エージェントループ」をAIエージェント自らが自律的に回しながら作業を洗練させていくのです。
重要なのは、単に指示されたことをこなすだけではないという点です。GitHub Copilotのエージェントモードは、ゴールに向かって自ら考えて動きます。開発者が「何を達成したいか」を伝えれば、どのアプローチが最適かを判断し、実行します。その際、AIエージェントは必要なタイミングで意見を求めながら、自分で書いたコードを自分でテストして、リアルタイムに品質を高めていきます。
このプロセスは言うなれば、超高速なペアプログラミングです。作業の進行状況を常に確認でき、どの段階でも介入して方向性を修正することが可能です。
例えば、古いフレームワークで書かれたコードを最新版に対応させるリファクタリングを考えてみましょう。通常であれば、まずコード全体を読み解いて依存関係を整理し、既存のテストが何を検証しているのか確認してから、慎重に変更を加えていく必要があります。しかしエージェントモードであれば、対象モジュールの移行要件を指示するだけで、段階的に作業を進めてくれます。途中経過を確認しながら、必要に応じて特定の部分は変更しないよう指示することもできます。
開発者は全体の方向性を示し、細かい実装はAIエージェントに任せる。そして常に状況を把握しながら、必要なら即座に介入する。このようにAI時代の新しいペアプログラミングが、開発のスピードと柔軟性を大きく引き上げているのです。
