AIR開発者に聞く「AIR 1.0をリリースした今の気持ちを教えてください」
AIR 1.0がリリースされた今の感想を教えてくださいと尋ねると、Adobe Flexグループ プロダクト マーケティングマネージャ、デイブ・グルーバー氏は、ユーモラスたっぷりに額の汗をぬぐう仕草をしながら「ふゅー!」とその大変さを教えてくれた。話によればリリース直前はギリギリのスケジュールで開発が続けられており、大変くたびれていたという。
無事にリリースされた今では「自分たちが作った物がどういう使われ方をするか、実際に目にすることができるので、非常にわくわくした気持ちでいっぱいです」と心境を語ってくれた。
世界有数のソフトウェア企業であるアドビをもってしても、新製品を生み出すというのは本当に大変なことだという。そしてAIRの場合はさらに大きな難問があったという。
誰もが作ったことのないものを作る難しさ
「AIRの場合、誰も作ったことのないものを作るという難しさがありました。多くの方に製品のコンセプトをお話しし、意見をいただくんですが、どうしてもその方が今まで使ったことのある製品と重ね合わせたイメージでしかなく、誰も使ったことのない、未知数の物に対する回答にはならないんですね。ですから、意見をいただくときも、また開発者同士のコミュニケーションでも、全てが手探り状態で行われ、それを何度も繰り返すのが非常に大変な作業でした」(グルーバー氏)。
他にもパフォーマンスの問題、HTMLやFlashといった標準技術を完璧にサポートするためのエンジン選定には多くの工数をかけたという。さらにAIRは、SDKやFlex Builder(開発ツール)のリリースについて、重要なテーマの1つに設定しており、とにかく開発者が開発しやすい環境作りを提供しようと大幅なリソースを投入してきたという。
AIR開発者に聞く「AIRのおすすめ機能ってなんですか?」
開発担当シニア プラットフォーム エバンジェリストのエンリケ・デュボス氏は、「AIRおすすめの機能は、AIR全部です」と笑う。そして主な利点として次の4つをあげてくれた。
HTML・Flash・PDFを使えること
1つ目はHTML(JavaScript)、Flash(ActionScript)、PDFという今までWeb上で使われてきた技術をそのまま使える点。Web開発を経験した人であれば、新たな技術を習得することなく、いきなりデスクトップアプリケーションを作成できてしまうため、非常に敷居の低い技術となっている。
作ったアプリはWindows、Mac両方で動作すること
また、AIRのランタイムはWindows、Macをサポートしており、開発者が作ったアプリケーションはどちらのOS上でも動作する。ゆくゆくはLinuxにもサポートされることになっており、マルチプラットフォーム対応のランタイムであるというメリットがある。
デスクトップアプリケーションならではの特性が生かせること
「今までブラウザでできなかったことができる。これは大きなメリットだと強調したい」とデュボス氏。具体的な機能として以下のものが挙げた。
- オフライン状態でも動作する
- デスクトップで動作している他のアプリケーションとデータ連携ができる
- デスクトップ上からAIRへドラッグ&ドロップでファイルを移動できる
- ローカルファイルへのアクセスが可能
- クリップボードの利用できる
- システムの認証機能を使える
- 内部にSQLiteを内蔵しており、データを保存できる
自由自在にデザインできること
「個人的に大変気に入っているのはデザインの拡張性だと思います。独自の好みにあったルック&フィールドをOSに依存することなく作れるのです。大変洗練されたスキンへの変更が可能ですし、設定ができる。アプリケーションの存在そのものが視覚に訴えていける、そんなブランディングすらも実現できる良さがあると思います」(デュボス氏)。