インテルは11月10日、マルチコア・プロセッサー向けの並列化プログラミング・ツールスイート「インテルParallel Studio XE 2011」と、分散コンピューティング環境向けのツール・スイート「インテルCluster Studio 2011」を発表した。
この製品名の「XE」は「eXtreme Edition」を意味し、ついこの9月にリリースされた「インテルParallel Studio 2011」の上位製品という位置づけになる。それと同時に、これまで販売されていた「インテルC++/Fortran コンパイラー」や「VTuneアナライザー」をバージョンアップした後継製品でもある。
プロモーションで来日したインテルのフィル・デ・ラ・ゼルダ(Phil De La Zerda)氏の話を交えつつ、この新製品の概要を紹介したい。
中上級者向け「インテルParallel Studio」ブランド
「インテルParallel Studio 2011」がどういった製品かを振り返っておくと、開発の各フェーズに合わせて、デザイン、ビルド&デバッグ、検証、チューニングの4段階に対応した4種類のツールのスイートということが大きな特徴である。つまり、この一つの製品で、開発のすべての段階において並列化をサポートすることができる。
これにより、今までHPC環境で用いられてきた並列化技術を、デスクトップやラップトップのコンピューティング環境に持ち込み、幅広い開発者が並列化の効率化を図ることができる。特にこれまで並列化について考えてこなかった初心者の開発者が、並列化に取り組むことができるようになったことは大きな利点だと言えるだろう。
そして今回リリースされた「XE」版は、従来のHPC向け製品群、すなわち「インテルC++/Fortran コンパイラー」「インテル スレッドチェッカー」「VTuneアナライザー」を、「インテルParallel Studio」ブランドでパッケージングし直したツールスイートである。
この上位製品のパッケージ化によって、先行する「インテルParallel Studio 2011」で満足できない中上級者に対して、より細かく最適化された、ハイパフォーマンスな並列化を、より容易に提供することが可能となっている。
旧製品および「インテルParallel Studio」とのツールの対応を、表1にまとめておく。注意すべき点として、並列化が必要なポイントを初心者に向けてステップ・バイ・ステップでアドバイスする「インテルParallel Advisor」相当の製品は、中上級者向けの上位スイートであるXEには含まれていない。
また、プラットフォームとしては、無印のインテルParallel StudioではWindows上のMicrosoft Visual Studioとの統合環境のみが提供されているが、XE版ではLinuxも用意されている。また、WindowsとLinuxどちらの環境でもスタンドアロンで起動でき、GUI画面で編集やデバッグ、エラーの検出などで分かりやすい表示が可能になっている。
フェーズ | 旧製品 | インテルParallel Studio XE | インテルParallel Studio |
デザイン(設計) | ―― | ―― | インテルParallel Advisor |
ビルド&デバッグ | インテル コンパイラー | インテル Composer XE | インテルParallel Composer |
検証 | インテル スレッドチェッカー | インテル Inspector XE | インテルParallel Inspector |
チューニング | VTuneアナライザー | インテル VTune Amplifier XE | インテルParallel Amplifier |