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Java EE 6 開発入門

サーブレット3.0の新機能

Java EE 6 開発入門(2)

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ファイルアップロード

 サーブレット3.0では、マルチパートリクエストと呼ばれるリクエストにも対応することが正式にサポートされました。Webアプリケーションの中ではファイルのアップロード時に使用されます。ファイルアップロードのときは特殊なリクエストがサーバへ転送されますので、その特殊な形式に合わせたサーブレットを用意しなくてはなりませんした。Commons-FileUploadと呼ばれる、アップロード専用のライブラリが提供されていますように、Webアプリケーションでは頻繁に使われる機能でしたので、正式にサーブレットの仕様としてアップロードを対応しています。

 では次に、ファイルをアップロードするサンプルコードを示します。アップロードする画面(JSP)と、アップロード処理を行うサーブレットの2つを用意します。

リスト9 アップロード用JSP index.jsp
<%@page contentType="text/html" pageEncoding="UTF-8"%>
<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN"
   "http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd">
<html>
    <head>
        <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=UTF-8">
        <title>Upload Page</title>
    </head>
    <body>
        アップロードするファイルを選択してください。
        <form action="upload" enctype="multipart/form-data" method="post">
            <input type="file" name="file" />
            <input Type="submit" />
        </form>
        ${ message }
    </body>
</html>

 アップロードする入力フォーム<form>部分で、enctype="multipart/form-data"が必須になります。また、アップロードするファイルを選択するためのボタンとダイアログを出すため、<input type="file" />タグを用意します。

リスト10 アップロード用サーブレット UploadSampleServlet.java
@WebServlet(name="upload" , urlPatterns={"/upload"})
@MultipartConfig(fileSizeThreshold=2048*1000 , location="/tmp/upload")
public class UploadSampleServlet extends HttpServlet {
   
    protected void processRequest(HttpServletRequest request, HttpServletResponse response)
    throws ServletException, IOException {
        String filename = "";

        // マルチパートリクエストの情報を取得する
        Part part = request.getPart("file");

        // 送信されたマルチパートのヘッダーを取得する
        String headerString = part.getHeader("Content-Disposition");
        log(headerString);

        // 以下、ヘッダー文字列からファイル名のみを取り出す処理 ////////
        // 送信ヘッダーの値は form-data; name="file"; filename="選択したファイル名" となる
        String[] headers = headerString.split(";");

        // セミコロン区切りで分割したString配列の中からアップロードしたファイルの名前を取り出す
        for ( String header : headers ) {
            String h = header.trim();   // ヘッダー文字列には前後に空白が入っているので取り除く

            // ヘッダー内からファイル名を取得するため、filenameを含むヘッダー文字列を取り出す
            if ( h.startsWith("filename")) {
                // filename="ファイル名"となっているので、=の右側がファイル名
                h = h.substring( h.indexOf("=") +1);

                // ブラウザやOSによって、アップロードするファイル名称にローカルの絶対パスが含まれるので取り除く
                int pos = h.lastIndexOf("\\");
                if (pos > -1) {
                    h = h.substring(pos +1);
                }
                // もしダブルコーテーションがある場合は除去する
                filename = h.replace("\"", "");
            }
        }

        // @MultipartConfigのlocationで指定したディレクトリにアップロードしたファイルが配置される
        part.write(filename);

        // メッセージをリクエスト属性に追加し、JSPに表示させる
        request.setAttribute("message", "アップロードが完了しました");

        //String fileName = ge
        RequestDispatcher rd = request.getRequestDispatcher("index.jsp");
        rd.forward(request, response);
    }
}

 アップロード機能に関する設定は クラスの先頭部のアノテーションである @MultipartConfig(fileSizeThreshold=2048*1000 , location="/tmp/upload") で行っています。

 fileSizeThresholdは、アップロードするファイルサイズの上限をバイト単位で指定し、locationは、アップロードされたファイルが、サーバのどのディレクトリに格納されるかを指定します。

 以上、リクエストヘッダを加工してファイル名の文字列を作るところでいろいろとしておりますが、ファイル名さえ特定できるのであれば、

Part part = request.getPart("[fileタグで指定した名称]");

でマルチパートリクエストのオブジェクトを取得し、

part.write(filename)

とすることでサーバへファイルの書き出しを行ってくれます。非常に簡単です。

まとめ

 今回はJava EE 6での中核となるサーブレット3.0の新機能について紹介しました。アノテーションを使って簡単に設定できるようになっていますので、拡張性を重視しつつ、従来のサーブレットの煩わしさから開放されることがご理解いただけたと思います。

 次回はJava EE 6のもう一つの基本仕様であるJSF2.1について解説します。

参考文献

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 東 浩二(アズマ コウジ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

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