日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)のPR部会調査分析WG(リーダー:小椋則樹氏)は、2012年10月に実施した、「第一回スマートフォン企業利用実態調査」の報告書を、12日に公開した。
「第一回スマートフォン企業利用実態調査」は、JSSECに加盟する会員企業(一部、会員企業の関連企業も含む)33社の情報システム部責任者、ITインフラ運用責任者、運用担当者が回答し、企業におけるスマートフォン利用について、計画フェーズ/導入フェーズ/利用フェーズ/運用フェーズの、4つのライフサイクルに分類して、そのフェーズをもとにした普及状況の把握を目的に行った。
調査結果によれば、スマートフォンの企業への普及はかなりの割合で進んでいるものの、導入にあたってスマートフォンの特徴である拡張性や操作性の有効活用が検討され、導入フェーズから利用フェーズへの移行段階にある。一方で、現在はニーズにあった運用管理ツールがなく、安定した運用フェーズにも至っておらず、検討を重ねている状態が続いている。
多くの企業は、スマートフォンを業務の生産性向上を目的として導入を計画しており、外出頻度の多い従業員を対象に導入し、メールやスケジュールへのアクセスから利用を始めている段階といえる。
計画段階でのセキュリティの検討は、ノートPCや携帯電話での対応をベースに、慎重に行われているものの、パスワードポリシーやセキュリティ設定が比較的緩く、導入アプリのポリシーがないなど、制限する方向ではなく、利用者の利便性を重視した対応が行われている。
また、BYOD利用における課題では、スマートフォンの利用環境の複雑化や、OSやアプリのバージョンアップサイクルなどの組み合わせによって、管理コストが上昇していることが挙げられる。日本企業の場合は、BYOD文化がないところから始めなければならず、BYODの企業利用の普及には、まずBYODの定義や考え方を浸透させる必要がある。
なお、回答した33社はおもに情報通信や情報セキュリティに携わる企業であり、ビジネスにおけるスマートフォンの利活用はかなりの割合で進んでいるが、今後はセキュリティおよび運用面での課題解決がキーになっていくと分析している。
【関連リンク】
・日本スマートフォンセキュリティ協会
・「第一回スマートフォン企業利用実態調査報告書」(PDF)
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