CodeZine(コードジン)

特集ページ一覧

【デブサミ2014】13-B-4 レポート
ビジネスの成功と快適な開発を同時に実現する「DevOps」の事例を紹介

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2014/04/01 14:00

目次

「ユーザーを含めたDevOps」と「コラボレーティブな開発環境」の2つの事例

 こうしたDevOpsの位置づけを踏まえ、黒川氏は2つの事例を示した。1つめは世界最大級のソフトウェアテストサービス「uTest」の例である。

 uTestは、200ヵ国に約10万人のテスターを抱えるコミュニティを運営している。クラウドソーシングにより、世界中で実際の使用環境に近い形でモバイルアプリケーションなどのテストができることが強みだ。

 たとえば、モバイルアプリ開発において、事業部門はユーザー価値の向上、開発部門は機能追加や障害対応に対する迅速性、テスト部門は障害レポートの起票の手間、ユーザーは不満や障害をすぐに直してもらえないなど、様々な課題を持っている。

 そこでuTestでは、DevOpsサイクルを加速化する仕組みを導入した。ユーザーの障害情報はクラウドに蓄積され、必要に応じて事業部門にフィードバックされると同時に、直接設計者や開発者にもクラッシュログや障害の傾向分析といった形で送られるという仕組みだ。画面スクリーンショットやCPU利用率、メモリー使用率、スタックトレース、充電率などが自動的に取得されて送られる。デモンストレーションでは、「画像が不明瞭で見えにくい」というユーザーからの指摘を受けて、迅速に担当者が対応する流れが紹介された。こうした仕組みによって、顧客から運用部門までを含めた継続的なモニタリングを実現し、継続的な改善を行いながらビジネスを前進させることが可能になったという。

ユーザーの直接フィードバックによるコラボレーティブな開発環境を実現したuTest
ユーザーの直接フィードバックによるコラボレーティブな開発環境を実現したuTest

 uTestにおけるDevOpsプラクティスのポイントについて、黒川氏は、実際に動いた後に「運用品質のモニターおよび検証」でしっかりモニターすることと、ユーザーからの直接フィードバックのように「ループバックを拡大する」ことをあげ、「今後は当然のことになる。CIもCDも継続的モニターに集約される」と評した。

 そして、そのエッセンスとして「頻繁で正確なビルドの配布」のような自動化、ユーザーにも使える直感的な操作といった「容易さ、シンプルさ」、そして、本番だけでなく「テスト段階のメトリックス収集」や「ユーザーからの直接フィードバックの継続的な収集」などを挙げた。さらに、ユーザーの感情・心情(肯定的・中立・否定的)を分析する「センチメント分析」も紹介。この感情の分析と品質メトリクスを組み合わせることで、マーケティングへの有用性がより高まるというわけだ。

今後はuTestとの連携で「Mobile Quality Assurance」として展開する予定とのこと。現在Open Betaで公開されているので、興味がある人は試してみるとよいだろう。

 

 もう1つ、DevOpsプラクティスの事例として紹介されたのが、銀行や小売業などに企業向けモバイルソリューションを提供している「PointSource」の例である。

 

 PointSourceでは、「対応の迅速性」および「ユーザーからの要求への柔軟な対応」の実現と、地理的な問題やコミュニケーションミスなどによる「ユーザーとの摩擦」の解消を、課題として抱えていた。そのために、コストをかけずに早期のプロジェクトを立ち上げ、ユーザーまで含めたコラボレーション環境を構築することが急務とされた。

 

そこでPointSourceに導入されたのが、IBMの「JazzHub」と「BlueMix」を活用した「開発クラウド」環境である。JazzHubは計画やタスクやソースの管理を行うSaaS、BlueMixは開発したアプリケーション実行を行うPaaSである。会場では、これらが実現する新しいクラウドベースの開発手法が、デモンストレーションにより示された。

PointSourceが採用した、IBMのJazzHubとBlueMixを活用した
クラウド・ベースの開発によるコラボレーション環境
PointSourceが採用した、IBMのJazzHubとBlueMixを活用したクラウド・ベースの開発によるコラボレーション環境

 黒川氏はPointSourceの事例について、クラウド上にコラボレーティブ開発環境を構築するポイントを紹介。早期にアプリケーションを見せ、素早いフィードバックによって、ライフサイクルマネジメントを行うことが重要だとした。

 また、トレーサビリティーを確保することも重要なポイントである。開発者にとって最も不快なのは「何のためにこのアプリを作るのか不明であること」だという。開発環境は、そこを担保するものが望ましい。各メンバーのアクティビティがわかり、「誰が何をやってるかわからない」ことのないコラボレーション環境を構築できれば、全体のモチベーションが高まり、ビジネススピードも上がっていく。

 黒川氏は「今後は継続的なモニタリング、継続的な改善をDevOpsが支え、SaaSやPaaS上でコラボレーティブ開発が行われるようになるだろう。特に、ユーザーと事業部門をつなぐ仕組みには大きなニーズがある。また、テクノロジーの進化はどんどん速くなり、開発者はそれを追っていかなければならない。好奇心を忘れずにどんどん追ってほしい」と語り、講演を締めくくった。

 なお、JazzHubとBlueMixは無料で試せるようになっている。関心のある方は試してみるとよいだろう。

お問い合わせ

日本アイ・ビー・エム株式会社

〒103-8510 東京都中央区日本橋箱崎町19-21

TEL: 0120-04-1992

URL: http://www-06.ibm.com/software/jp/rational/devops/



  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あなたにオススメ

著者プロフィール

  • CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

    CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

バックナンバー

連載:【デブサミ2014】セッションレポート

もっと読む

All contents copyright © 2005-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5