ヨーロッパはハッカースペースの本場
今回紹介する「ILLUTRON」は、デンマークのコペンハーゲンにあります。プロジェクト単位で、個人で仕事をするデザイナーやプログラマーが多いヨーロッパには、多くのハッカースペースがあります。
デンマークは、人口560万人あまり、兵庫県ぐらいの人口の小さな国です。ドイツのすぐ北なのですが、多くの島で構成されていて、文化はやや異なります。
エンジニアリングに強みがあり、レゴブロックの本社、高級オーディオのバング&オルフセン、陶磁器のロイヤルコペンハーゲンなど、世界的に名が通ったブランドをいくつか出しています。歴史上はなんといってもヴァイキングで有名な国で、今も世界最大のコンテナ船企業はデンマーク発祥です。
経済的には北欧の典型的な高福祉高負担国家で、所得の格差は小さく、教育水準の高い国です。平均月収の48万円に対して手取りは27万円。消費税にあたるVATは25%。一方で失業手当は最長4年間支給され、学費は大学まで無料。出産休暇は男女ともに1年以上とれます。
物価は、一番安いゴハン(東京の牛丼レベル)のピザとコーラを食べて1200円ぐらい、ビールを安いバーで飲んで1000円ぐらい、スーパーで原材料を買って自炊すると一食400円ぐらいでした。バスの初乗りがたしか350円ぐらい、いろいろなものが少なくとも東京の倍ぐらい、ものによってはそれ以上します。
高福祉高負担の格差の少ない国ということで、頑張って稼ぐ、大きいことをするというよりも、自分が満足できる小さいことをやるカルチャーがある気がします。
「ILLUTRON」はアートのハッカースペースです。どこのハッカースペースでも、大きく分けてギークっぽい(テクノロジー好きっぽい)スペースとアートっぽいスペースに二分されるように思います。どちらも独立した人たちで運営されているのだけど、お酒のようにトロンとするものを好むアーティストと、コーヒーのようにシャッキリするものを好むギークのように、けっこう色が出てくるように思います。
人口わずか55万人のコペンハーゲンには、テクノロジー中心の「Labitat」と、アート中心の「ILLUTRON」の2つのハッカースペースがあります。
アートのハッカースペースとテクノロジーのハッカースペースの両方が小さい街にあるというのも、デンマークらしいのかもしれません。