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ASP.NET Identity入門

ASP.NET Identityで独自の認証処理を行う

ASP.NET Identity入門 第12回


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 本連載はこれまでVisual Studioのテンプレートによって生成されたコードを利用してASP.NET Identityの説明を行ってきました。ASP.NET Identityの既定の動作では、SQL Serverのデータベースに対してEntity Frameworkを用いてアクセスし、認証やユーザー管理の処理を行っています。しかし、他のRDBMS製品やID管理サービス等でユーザー情報を管理したいケースも実際には多いでしょう。こういった時に、ASP.NET Identityの動作をどのようにカスタマイズすればよいのか、今回から紹介していきます。まず今回は独自の認証処理を行う方法について説明します。

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独自の認証処理の実装イメージ

 本連載ではこれまで、Visual Studioによって生成される標準テンプレートを活用し、GUIアプリケーションにおけるASP.NET Identityにできることの紹介を、一通り行ってきました。テンプレートによって生成されたコードでは、データストアにSQL Serverを使用し、そのデータアクセスにEntity Frameworkを利用しています。

 例として、ログイン時のユーザー情報取得処理の流れを見てみてみましょう(図1)。LoginページにてUserManagerExtensionsクラスのFindメソッドを通じて、ApplicationUserManageクラスのFindAsync非同期メソッドにユーザー名とパスワードを渡して呼び出します。UserManagerクラスでは内部に持つUserStoreクラスを使ってユーザー情報を取得します。この時、UserStoreクラスはEntity FrameworkのApplicationDbContextオブジェクトを使用します。

図1 標準テンプレートのユーザー登録処理イメージ
図1 標準テンプレートのユーザー登録処理イメージ

 第1回でも述べたとおり、ASP.NET IdentityではSQL Server以外のデータストアへの対応が容易になっています。また、データアクセスにEntity Frameworkを使わないといけないということはありません。

 ユーザー認証処理をカスタマイズする際のイメージを図2に示します。

図2 ユーザー認証処理のカスタマイズイメージ
図2 ユーザー認証処理のカスタマイズイメージ

 一番の違いは、実際にデータストアに対するユーザー情報の操作指示を行うUserStoreクラスを独自に実装し、FindByNameAsyncメソッド、GetPasswordHashAsyncメソッドの動作をカスタマイズしていることです。こうすることで、ユーザー名を指定してユーザー情報を取得し、取得したユーザー情報のパスワードと画面で入力したパスワードが一致するか検証できるようになります。

 このほかにユーザー作成等のメソッドも実装すれば、好きなデータストアを使ったユーザー情報の管理を行えるようになります。

 今回はユーザーの認証に対象を絞り、その実装方法を紹介していきます。

必要なNuGetパッケージの導入

 それでは、実際に独自の認証を行うWebフォームアプリケーションを作成していきましょう。まずは、実装対象を明確にするため、空のWebフォームアプリケーションとして新たにWebアプリケーションプロジェクトを作成してください。

 プロジェクトを作成して最初に行うのは、NuGetパッケージのインストールです。ASP.NET Identityをカスタマイズして使用するには、次のパッケージをインストールします。

Microsoft.AspNet.Identity.Owin

 ASP.NET IdentityのOWIN関連のライブラリを導入します。このパッケージをインストールすることにより、ASP.NETのコア部分やOWINのパッケージも一緒にインストールされます。

Microsoft.Owin.Host.SystemWeb

 ASP.NET IdentityはOWINのミドルウェアを活用します。そのため、OWINをホストするためのパッケージも必要です。このパッケージはOWINをIISでホストするためにインストールします。

Microsoft.AspNet.FriendlyUrls

 ASP.NET Identityとは直接関係しませんが、URLルーティングを楽に行うためにインストールします。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 高野 将(タカノ ショウ)

<個人紹介>新潟県長岡市在住の在宅リモートワークプログラマー。家事や育児、仕事の合間に長岡IT開発者勉強会(NDS)、Niigata.NET、TDDBCなどのコミュニティに関わったり、Web記事や書籍などの執筆を行ったりしている。著書に『アプリを作ろう! Visual C#入門 Visual C# 2017対応』(日経BP社、2017)など。<WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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