「MVNOや機器メーカーになるのではなく、世界で使ってもらえるIoTインフラへ」――さくらのIoT Platform
「July Tech Festa 2016」基調講演レポート
さくらインターネットが2016年度内をめどに正式リリースを目指す「さくらのIoT Platform」は、4月からアルファ版が提供され、現在9月(予定)のベータ版受付開始に向けた作業が進んでいる。レンタルサーバーの会社がなぜIoTなのか。7月24日に産業技術大学院大学(東京都)で開催された「July Tech Festa 2016」の基調講演は、さくらインターネット フェローの小笠原治氏による、なぜIoTなのか、どんなプロジェクトなのか、さくらのIoT Platform立ち上げの1年を振り返るセッションだった。
これからはディスプレイの外の世界へ
小笠原氏は、1998年ごろに創業2年目のさくらインターネットから離れ、自らも起業し、ベンチャーの投資家としても活動している。投資家としては特にIoTに注目しており、氏が代表取締役を務めるABBALabは、IoTスタートアップを支援するVCだ。
ABBALabは、ホログラムを利用したコミュニケーションサイネージの会社、血糖値が測れるトイレの会社、サッカー選手のモーションロガーを開発する会社、犬の心拍をセンシングして犬の感情を可視化する会社、スマートロックの会社、小電力無線通信(LoRa)のプロトコルを開発する会社、水田の水門自動管理システムの会社など、ユニークなスタートアップに投資を行っている。
小笠原氏とさくらインターネット 代表取締役社長の田中邦裕氏とは、「これからはディスプレイの中だけでなく外(新しいデバイス)にも出ていこう」と話し合っていたとのことで、約1年前にフェローとして同社に戻り、IoT関連のプロジェクトを担当することになったという。
小笠原氏が社長を務めるABBALabはIoT関連のベンチャーに積極的に投資。
投資先の例「イヌパシー」というIoT機器のベンチャー
IoTは「モノ」ではなく「モノゴト」で考える
14年ぶりにさくらインターネットに戻ったという小笠原氏だが、なんの権限もない状態でのスタートだった。その中、IoTで何をやろうかと考えたとき、「インダストリー4.0のような製造業の領域ではなく、生活に密着した製品を便利にする、ライフスタイルを変えるようなIoTをターゲットとしたい」と思ったという。
Internet of Things(IoT)は日本語では「モノのインターネット」と訳されているが、小笠原氏は「正しくは物事(モノゴト)のインターネット」ではないかと主張する。つまりインターネットにつながる「物」がデバイスであり、「事」がThingsの部分だという。そして、生活に密着したIoTサービスや製品を考えるメーカーやプロバイダーは、「事」の入力、ロジック、出力を考える必要があるとする。
すなわち、IoTでなにをセンシング(入力)して、どんな結果、フィードバック(出力)を得て、どんな価値を生み出す(ロジック)のか、という視点である。となると「インフラ屋である我々は、なにをすればいいのか。コトの部分とそのためのロジックは我々のユーザー企業が考えるべき。IoTの残りの部分、インターネットと物=デバイスの入出力部分だろう(小笠原氏)」と考えた。
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中尾 真二(ナカオ シンジ)
フリーランスのライター、エディター。アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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