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イベントレポート

「MVNOや機器メーカーになるのではなく、世界で使ってもらえるIoTインフラへ」――さくらのIoT Platform

「July Tech Festa 2016」基調講演レポート

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IoT専用インフラでどんなビジネスができるか

 IoTにおけるさくらインターネットの役割は、デバイスとインターネット、という結論に至った小笠原氏。具体的には、ユーザー企業のマイコンとつながる通信モジュールがあれば、モバイル回線を経由してIoT用のネットワークインフラ、そしてインターネットへの接続環境が整備できると踏んだ。さくらインターネットはモバイルキャリアと専用線をつないだ。ここにIoT用の閉域網をつくれば、安心・安全なIoTネットワーク(プライベートクラウドインフラ)を構築でき、必要ならWeb APIを介してインターネットとの接続環境、各種オープンAPIサービスを提供できるからだ。

 ここで、小笠原氏はプロジェクトのメンバーを集め始める。IoTで集まるデータをいくらで保存し、それがいくらの価値(サービス)を生み出すか、どのようなビジネスになるかを計算し、事業計画とする。さくらのIoT Platformのサービスモデルを図案化する。そして、リサーチャーに通信モジュール部分の設計と実証実験を行う。これらの作業ができる人材を段階的にメンバーに加えていった。

 事業計画に予算がつき、業務としてのオペレーションが始まるまでおよそ3か月かかったそうだ。

事業化にあたって試算した、IoT市場の仮説。このような資料は企業や行政を動かすには役に立つ
事業化にあたって試算した、IoT市場の仮説。このような資料は企業や行政を動かすには役に立つ
さくらのIoT Platformチームのメンバー
さくらのIoT Platformチームのメンバー

事業計画を進めながら人材を補強

 正式な事業としてプラットフォームの概要が見えてくると、実際に利用したい、いっしょにビジネスをしたいというパートナーも現れてくる。また、実装が始まると、機能ロジックだけでなくUI、UXといった部分も考える必要がある。組み込み系エンジニアの強化、営業、UI/UXデザイナー、マネジメント、サポート、広報・カスタマーリレーションといった人材も段階的に増えていったという。

 また、立ち上げ時の技術検証や実現可能性の検討段階から、アルファ版、ベータ版のサービス開始とフェーズが変わってきたため、一部のメンバーの入れ替えも行われた。モバイルネットワークは、国内キャリアだけでなく海外キャリアにも対応させたい意向もあり、その人材の合流予定もある。

 小笠原氏によれば、IoTの人材をさがすとき「じつは社会人だとあまり見つからず、学生を採用することが少なくない」という。IoTでは、ネットワーク、プログラミング、組み込み、サーバーインフラとさまざまな分野の知識やスキルが要求されるが、そのような人材は、特定の仕事に就いた社会人より学生のほうが多かったりする。例えば、4月から執行役員になったのは昨年の新卒だ。

さくらのIoT Platform(アルファ版)のサービスイメージ
さくらのIoT Platform(アルファ版)のサービスイメージ
要となる通信モジュールの実証実験を行う
要となる通信モジュールの実証実験を行う

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さくらのIoT Platformのシステムモデル

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この記事の著者

中尾 真二(ナカオ シンジ)

フリーランスのライター、エディター。アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9581 2016/08/12 14:00

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