セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)とアマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)は10月13日に記者発表会を開き、クラウドプラットフォーム事業における協力体制の強化を発表。パートナー企業が、両社のサービスを組み合わせたシステムを提案・構築する支援を行うと共に、アプリケーションカスタマイズの鍵を握るPaaS分野でのサービス利用拡大をねらう。
今回発表された施策は次の4つ。セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 アライアンス本部 本部長の手島主税氏と、アマゾン ウェブ サービス ジャパン パートナーアライアンス本部 本部長の今野芳弘氏が共に壇上に立ち、発表した。
1. リファレンスアーキテクチャを開発する両社エンジニアによるクラウドデザインセンター(CDC)の設置
CDCは、両社のエキスパートエンジニア(セールスフォースから5名、AWSから5名)で編成された混成チームが、両社連携のサービスを提供する。具体的には、アーキテクティング(アーキテクチャ設計)支援、リファレンスアーキテクチャ(設計時の参考や手本となるアーキテクチャ)の作成と共有、パートナーソリューションの拡充を行う。
2. ベストプラクティスを両社パートナーエコシステムへ展開
パートナー向けの施策として、両社のパートナー企業にIaaS、PaaS、SaaS製品のスキルやナレッジを提供。AWSのパートナー企業とセールスフォースのパートナー企業との接点も作る。
3. 第一弾としてAWSをプラットフォームとするHerokuを軸とした営業展開
Herokuは2011年にセールスフォースが買収したPaaSプラットフォーム。AWS上で稼働しており、AWS Partner Networkにも加盟している。両社はHeroku Enterpriseの営業活動で協力し、セールスフォースに蓄積された顧客データのB2Cで利用するケースと、AWSに蓄積されたIoTなどのデータをCRMにつなげるケースの拡大を図る。
4. 共同マーケティングの実施
AWS Summit TokyoやSalesforce World Tour Tokyoといったイベントをはじめ、セミナーやトレーニングの共同開催などでマーケティング活動を展開する。
これら4つの施策は、両社とも日本法人が国内市場向けに独自に行うもの。米国本社でも歓迎しているという。4つの施策とも、10月13日より実施が開始された。
また、今回の協力強化を図るきっかけとなった背景として、セールスフォースの手島氏とAWSの今野氏は、次のようなクラウドに対する市場ニーズの変化を挙げた。
これに対し、両社は変化の1つ目に対して「特徴の異なるクラウド技術をつなぐアーキテクト」、変化の2つ目に対して「新しいクラウドエコシステムの拡大」、変化の3つ目に対して「IaaSとSaaSをつなぐテクノロジーの推進」を提案することを決定。本稿の冒頭で紹介した4つの施策に結実した。
なお、手島氏と今野氏の施策発表に先立ち、セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクターの御代茂樹氏が、セールスフォースとAWSの協力強化のねらいなどを解説。顧客ビジネスに最適化されたアプリケーションを迅速に提供するには「アプリケーションのカスタマイズ要求(SaaS)とさらなる生産性向上の要求(IaaS)を同時に実現する必要がある」と指摘。そのためには「PaaSによる開発環境の拡充が不可欠である」と述べた。また、この点において「セールスフォースとAWSの組み合わせは理想的」(御代氏)と胸を張った。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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