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いよいよ登場「ASP.NET Core 1.0」 マルチプラットフォームな.NETとは?

ASP.NET Coreアプリケーションをビルドして起動してみよう

いよいよ登場「ASP.NET Core 1.0」 マルチプラットフォームな.NETとは? 第2回

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ASP.NET Coreの起動設定

 それでは、ASP.NET Coreアプリケーションを実行してみましょう。まず、起動前にアプリケーション起動設定を[プロジェクト]-[プロパティ]から確認しておきましょう。

Webサイトの起動設定画面と「launchSettings.json」
Webサイトの起動設定画面と「launchSettings.json」

 GUIで設定した内容は、「launchSettings.json」に反映されます。ここでは「IIS Express(IISExpressコマンド)」と「AspNetCoreSample(Projectコマンド)」が設定されています。

ASP.NET Coreのデプロイ環境名

 ASP.NET Coreでは環境名として「Development」「Staging」「Production」の3つが予約されています。この設定を「launchSettings.json」の「ASPNETCORE_ENVIRONMENT」環境変数に設定します。

 これにより、コード中でIHostingEnvironmentクラスを用いて、例えばIsDevelopmentメソッドで環境名で判定することで、エラーページを制御したり、特別なCSSに差し替えることができます。

リスト6 デプロイ用の環境変数の使用例
if (env.IsDevelopment())
{
    app.UseDeveloperExceptionPage();
    app.UseBrowserLink();
}
else
{
    app.UseExceptionHandler("/Home/Error");
}

ASP.NET Coreアプリケーション(Kestrel)の起動

 それでは[AspNetCoreSample(プロジェクト名)]にて[ビルド実行(F5キー)]をクリックします。そうすると、ブラウザにスタート画面が表示されます(Kestrelの起動よりブラウザ起動が速い場合があるため、エラー時はリロードします)。設定したポート番号(http://localhost:5000)にてKestrelが起動していることがわかります。

ASP.NET Coreアプリケーションの実行画面
ASP.NET Coreアプリケーションの実行画面

IISで起動する場合

 次に[IIS Express]にて[ビルド実行(F5キー)]をクリックします。先ほどと同じ内容がブラウザに表示されます。この場合、IIS Expressが一旦リクエストを受けた後、プロキシとしてKestrelサーバーに処理を渡しています。

タスクマネージャで、実行中のプロセスのコマンド引数を確認
タスクマネージャで、実行中のプロセスのコマンド引数を確認

 この挙動を確認するには、タスクマネージャの詳細タブでコマンドライン列を表示して、IIS Expressとdotnetコマンドを確認します。IIS Expressとdotnetコマンドの引数やプロセスIDを把握できます。

「netstat -nao」コマンドでdotnetコマンドが現在使用しているポートを確認
「netstat -nao」コマンドでdotnetコマンドが現在使用しているポートを確認

 Kestrelがどのポートで起動しているかは、「netstat -nao」コマンドとプロセスIDでフィルタで調査できます。

 なお、IISが起動しているKestrelサーバーに直接ブラウザでアクセスしても認証情報が足りないため「IISIntegration.IISMiddleware:Error: MS-ASPNETCORE-TOKEN does not match」というエラーが発生し、ページは表示されません。

「.NET Framework」と「.NET Core」の挙動の違い

 前編にてご説明した通り、ASP.NET Coreでは、「.NET Framework」または「.NET Core」のどちらかが選択できるようになりました。ビルド実行した際のブラウザ表示は同じですが、以下の出力ログを見ると、読み込まれている物理ファイルが異なることがわかります。

 .NET Frameworkの場合、アセンブリをGAC「C:\Windows\Microsoft.NET\assembly」や(配置先の構成を意識して同梱する)Binフォルダから読みこんでいます。

リスト6 実行時ログの抜粋(.NET Frameworkの場合)
'AspNetCoreFx.exe' (CLR v4.0.30319: AspNetCoreFx.exe): 'C:\WINDOWS\Microsoft.Net\assembly\GAC_MSIL\System.Xml.XDocument\v4.0_4.0.0.0__b03f5f7f11d50a3a\System.Xml.XDocument.dll' が読み込まれました。

'AspNetCoreFx.exe' (CLR v4.0.30319: AspNetCoreFx.exe): 'C:\CodeZine\AspNetCoreFx\bin\Debug\net461\win7-x64\Microsoft.AspNetCore.Mvc.dll' が読み込まれました。

 .NET Coreでは、.NET Coreのインストールフォルダ「C:\Program Files\dotnet\shared\Microsoft.NETCore.App\」や現ユーザーのフォルダ「C:\Users\<ユーザー名>\.nuget\packages\」フォルダから読みこんでいることがわかります。

リスト7 実行時ログの抜粋(.NET Coreの場合)
'dotnet.exe' (CoreCLR: clrhost): 'C:\Program Files\dotnet\shared\Microsoft.NETCore.App\1.0.0\System.Xml.XDocument.dll' が読み込まれました。

'dotnet.exe' (CoreCLR: clrhost): 'C:\Users\aoki\.nuget\packages\Microsoft.AspNetCore.Mvc\1.0.0\lib\netstandard1.6\Microsoft.AspNetCore.Mvc.dll' が読み込まれました。

 このような仕組により、.NET Coreでは、必要なコードとproject.jsonを配置することで、依存ライブラリをダウンロードしWebアプリケーションを動かす仕組みが備わっていることがわかります。

最後に

 以上、本稿ではASP.NET Coreの依存ファイルの解決方法、新しいツール、実行時の挙動等について紹介してきました。次回は、生成されたASP.NET Coreのコードの内容についてご紹介します。

参考資料

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 青木 淳夫(アオキ アツオ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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