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いよいよ登場「ASP.NET Core 1.0」 マルチプラットフォームな.NETとは?

ASP.NET Coreアプリケーションをビルドして起動してみよう

いよいよ登場「ASP.NET Core 1.0」 マルチプラットフォームな.NETとは? 第2回

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(5)RazorのTagヘルパー

 project.jsonの中では「Microsoft.AspNetCore.Razor.Tools」というツールも設定されています。このツールを使用すると、Razor用のTagヘルパーにてインテリセンスを有効にできます。

CSHTMLファイルのTagヘルパー編集でインテリセンスを使用
CSHTMLファイルのTagヘルパー編集でインテリセンスを使用

 ASP.NET MVCのビュー「Razor」では、新しいTag Helpers(タグヘルパー)という機能が使用できるようになりました。これまでは主にHTMLヘルパーを用いていました

リスト3 従来のHTMLヘルパーでのLabelタグの記述例
@HTML.LabelFor(m => m.Email, new {@class = "col-md-2"})

 Tagヘルパーでは、同じ内容を以下の書き方で書けるようになりました。

リスト4 新しいTagヘルパーでのLabelタグの記述例
<label asp-for="Email" class="col-md2"></label>

 Tagヘルパーはモデルのマッピング対象を「asp-for」等の属性で指定するだけで良いため、HTMLのまま直感的に書けるメリットがあります。Labelに限らず、Form、Input、Image、Link、Scriptなど数多くの要素にてTagヘルパーを使用できます。独自のTagヘルパーを作ることもできるので、ぜひ活用してみると良いでしょう。

(6)ASP.NET Coreと連携するIISモジュール「AspNetCoreModule」

 前編にてご紹介した通り、ASP.NET Coreでは、Kestrelという新しいWebサーバーが提供されています。Visual Studioのテンプレートでは、project.jsonにてIIS統合機能(Microsoft.AspNetCore.Server.IISIntegration)を使用するようになっており、IISとKestrelを連携することができます。

IISとASP.NET Core(Kestrel)の関係

 従来のASP.NETではIISのアプリケーションプール(w3wp.exe)のプロセスに、アプリケーションのDLLを読み込んで動作していました。これに対して、ASP.NET Coreでは、IISとASP.NET Coreはそれぞれ別のプロセスとして動作します。この場合、ブラウザからのリクエストをIISが受け取り、ASP.NET Core(Kestrel)に渡します。

IISへのリクエストとKestrelの流れ
IISへのリクエストとKestrelの流れ

 上図のように、IISがリクエストを中継するリバースプロキシの役割を果たし、dotnetコマンドで起動されたASP.NET Coreアプリケーションがメインの処理を行います。

IIS設定「Web.config」

 ASP.NET Coreでは「project.json」を使うようになりました。そのため「Web.config」ではプロジェクト設定に関する記載は無くなりましたが、IISに関する設定は引き続き記載します。ここでは、IISで受信したリクエストをAspNetCoreに連携するハンドラ「AspNetCoreモジュール」の設定が記載されています。

リスト5 ASP.NET CoreのWeb.config(AspNetCoreモジュールの設定)
<configuration>
  <system.webServer>
    <handlers>

      <add name="aspNetCore" path="*" verb="*" modules="AspNetCoreModule" resourceType="Unspecified"/>
    </handlers>

    <aspNetCore processPath="%LAUNCHER_PATH%" arguments="%LAUNCHER_ARGS%"
   stdoutLogEnabled="false" stdoutLogFile=".\logs\stdout" forwardWindowsAuthToken="false"/>

  </system.webServer>
</configuration>

 前編のproject.jsonで見たように発行後イベントとして「dotnet publish-iis」コマンドが設定されています。これにより、発行が終わると次のようにWeb.configが変更されます。

  • 置換前:processPath="%LAUNCHER_PATH%" arguments="%LAUNCHER_ARGS%"
  • 置換後:processPath="dotnet" arguments=".¥AspNetCoreSample.dll

 これによってアプリの「dllパス」を引数とした「dotnetコマンド」が生成され、IISによってKestrelが起動されます。

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ASP.NET Coreの起動設定

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WINGSプロジェクト 青木 淳夫(アオキ アツオ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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