チェコのJetBrainsは、オブジェクト指向プログラミング言語の最新版「Kotlin 1.2」を、11月29日(現地時間)にリリースした。
「Kotlin 1.2」では、KotlinコードをJVMとJavaScript双方で共有可能になっており、いったんビジネスロジックを書けば、バックエンドでもフロントエンドでも、Androidモバイルアプリケーションとしても利用できる。また、クロスプラットフォームのシリアライゼーションライブラリなど、コードの再利用性を高めるためのライブラリ開発も進めている。
単一のコードベースから、バックエンド、フロントエンド、Androidといった、複数のアプリケーションをビルドする仕組みである「マルチプラットフォームプロジェクト」は、プラットフォームから独立したコードと、プラットフォーム(JVMまたはJavaScript)固有のコードで構成されるcommon moduleを含む。
プラットフォーム固有のコードはプラットフォーム依存のライブラリの呼び出しが可能で、expected宣言によってcommon moduleからプラットフォーム固有のコードを呼び出せる。
さらに、ロジックをプラットフォームから独立したコード側により多く記述できるよう、テストのためのkotlin.test、マルチプラットフォームのレンダリングを実現するkotlinx.html、JSONまたはProtoBufでプラットフォーム間でのKotlinオブジェクトの受け渡しを可能にするkotlinx.serializationといったライブラリを用意している。
なお、「マルチプラットフォームプロジェクト」は現時点では実験的な機能であり、機能自体は安定しているものの、今後のリリースで変更される可能性がある。
パフォーマンス面では、従来バージョン「Kotlin 1.1」と比較してコンパイル速度を約25%向上している。
そのほか、配列リテラルによるアノテーションへの複数の引数指定の簡略化、lateinit修飾子のトップレベルプロパティおよびローカル変数でのサポート、lateinit変数の初期化チェック機構の搭載、より賢いスマートキャストの導入、型推論の改善、標準ライブラリでのJava 9で導入されたsplit package制約への対応、標準ライブラリへのkotlin.mathパッケージの追加など、言語や標準ライブラリに対するさまざまな改善が行われた。
「Kotlin 1.2」は、同日リリースの統合開発環境「IntelliJ IDEA 2017.3」に含まれるほか、他のバージョンのIntelliJ IDEAにもインストールできる。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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