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スタートアップ企業で貢献できるエンジニアとは? ゼロから始めたプロダクト開発と採用を通して見えてきたもの

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2018/03/28 14:00

 2015年8月に設立し、デジタル×リアルの統合的なマーケティング戦略で急成長しているMacbee Planet。設立1年目から3年連続で「ベストベンチャー100」を受賞。現在、最先端のアドテクノロジー領域へ活躍の場を広げており、業界の多数のメディアから注目を集めている。2年前は営業メンバーのみでエンジニアがゼロだったにも関わらず、昨年11月には自社開発のマーケティングツール「Robee」をリリースし、テクノロジー企業へと変貌を遂げた。現在は、エンジニアが働きやすい会社を目指し、さまざまな取り組みを行っているという。会社を変えるため、同社のエンジニアはどんな取り組みを行ったのか。そして勢いのあるスタートアップで活躍できるエンジニア像とは。Macbee Planetのエンジニアチームを率いるシステムクリエイティブ部 部長 高原英実氏とエンジニアの宇野涼太氏に話を聞いた。

Macbee Planet システムクリエイティブ部 部長 高原英実氏(右)同社 エンジニア 宇野涼太氏(左)
Macbee Planet システムクリエイティブ部 部長 高原英実氏(右)
同社 エンジニア 宇野涼太氏(左)

技術を磨くよりも「自分より優秀な人をいかに集めるか」を使命に

 高原氏がMacbee Planetに初のエンジニアとして入社したのは2016年4月。学生時代はFPGAなどのハードウェアを研究していた高原氏が、初めてWeb開発に触れたのは、新卒で入社した不動産情報サイトの運営に携わったときからだ。

 「前職では2年ほど働きましたが、もっと技術的に多くのものを学びたいと感じ、転職活動を始めました。いつかは独立して起業したいと考えていたので、その頃からフリーランスでWeb制作を請け負いつつ、Web広告にも取り組んだりもしていて。そんな中、Macbee Planetでアドテクノロジーに関するエンジニアを探していることを知り、興味を持ったのが面接を受けたきっかけです」(高原氏)

 しかし当時のMacbee Planetにエンジニアはいない。初のエンジニアとして入社することに、不安はなかったのだろうか。

 「面接で社長に気に入られて、社員との食事会をセッティングしてもらいました。一緒に働く人にはこだわっていたので、同席した現場のメンバーのコミット力をかなり注視していましたね。その中の一人に『なぜMacbee Planetで働いているのか』と聞いたところ、『個々が抱く目標・夢を実現する組織に』という企業理念に共感しているからだという答えが返ってきて、自分の夢を熱く語ってくれたんです。こんな人がいるならいい会社なんだろうなと思い、入社を決めたんです」(高原氏)

 いざ入社をしてみると、それまで広告運用のコンサルティング営業で成長していた同社には、Excelの使い方もわからない、ブラインドタッチもできない社員もいたと言い、「これがITの会社なのかと衝撃を受けた」と高原氏は振り返る。

 「技術を知らない営業メンバーは、要望のレベルが半端ないんですよね。少しでもシステムが絡む話になると何でも聞かれて、家庭教師のような感じでした。そんな『これってエンジニアがやる仕事じゃないよね』という仕事もやりながら、既存システムの改修もやらなければならず、当時は大変でした」(高原氏)

 そんな高原氏であったが、入社後半年が経過したころ、同社代表取締役の小嶋雄介氏に掛けられた言葉で転機が訪れた。

 「『できない理由を考えるのではなく、やれる理由を考えたほうがいい』と小嶋から言われました。確かにそれまでの自分は、できない理由をひたすら作っていたんです。それ以来、相手の立場に立って考えるようになり、社内で勉強会を開催したり、役員にも遠慮せずに言うべきことは言うようにしたりと、大きく意識が変わったんです。

高原氏のDevelopers Summitでの講演の様子。
高原氏は、相手の立場に立つことの重要性や社内で行った取り組みを、同じ課題をもつエンジニアに向けて講演した

Developers Summitでの講演レポート

 入社した当時は、自分自身が技術を磨き、CTOとして活躍したいと思っていました。しかし、実際はいろんな人の力を借りなければ物事を進められないし、1人でできることには限界がある。『自分より優秀な人をいかに集めるか』『その人がいかにパフォーマンスを上げられる場を提供できるか』を考えるようになりました。積極的に採用活動を始めるようになったのも、この頃からですね」(高原氏)

勢いのあるスタートアップで働くことが「夢を叶える近道」

 「Robee」の開発が始まったのは、2017年2月のことだった。依然としてエンジニアは高原氏1人だったことから、外注先で2名をアサインしてもらい、そのうち1人がPMを務め、高原氏を含む3名で開発を行った。しかし外注先と社内の連携がうまくいかず、苦悩する日々。次第に高原氏は実際に手を動かすよりも調整役に回らざるを得なくなっていったという。

 「外注先の方は過去のいろんな開発経験から『こうしたほうがいい』と提案してくるのですが、こっちが望んでいるものとは違う。どうにかしてこちらの意図を汲んでもらうために、かなり試行錯誤を重ねました。

 今のエンジニアって、需要が高くて働く場がたくさんあるので、自分のしたいようにしたい人が多いと感じています。『言われたものを自分の作りやすいように作りますよ』というスタンスで、このプロダクトをどうしても成功させたいという思いが少ない。これはもう内製化するしかないと思い、昨年の12月にようやく完全に内製化したんです」(高原氏)

 「Robee」の開発の傍らで、採用活動を行っていた高原氏が目をつけたのが宇野氏だった。

 「当社のようなエンジニアが少ない環境でも、ガッツを持って前のめりになれる人を探していたのですが、エンジニアってそういう気質の人は少ないんですよね。言われたことをやりたい人が多くて、なかなか良い人には出会えませんでした。それでもあきらめずに探していたところ、宇野を見つけたんです」(高原氏)

 大学卒業後、つまらなかったらゲームを返品できるというビジネスモデルで起業した宇野氏。その後はスマホアプリエンジニアに転職し、個人デベロッパーとしてさまざまなスマホアプリを開発・リリースしたが、どうにも儲からない。この問題を解決するためには胴元に忍び込むしかないと考えた宇野氏は、アドテク業界で急成長中のMacbee Planetへの入社を決めたという。

 「僕の夢は技術力を駆使して新しい価値やビジネスを創造することです。Macbee Planetはこんな僕の夢でも応援してくれる土壌があり、やる気さえあればイントラプレナーになることも可能です。そして何より、『こんな会社をつくりたい』と心から思えるような会社だったので、ジョインしました」(宇野氏)

エンジニアが働きやすい環境を目指して

 宇野氏のミッションは、エンジニアの数を増やすべく、エンジニアが働きやすい環境を作ることだ。エンジニアにパフォーマンスを発揮してもらうため、エンジニアの要望を叶えるために社内調整を行ったり、採用活動に向けたブランディングに力を入れたりしているのだという。

 「現在はフリーアドレス制を採用していますが、要望があれば固定デスクを支給したり、個室で開発したいと言われたときには、会議室を予約して集中開発室をセッティングしています。僕自身エンジニアとして『エンジニアがパフォーマンスを最大限発揮できる環境』は熟知しているので、会社のためにもエンジニアのためにも要求には最大限応えたいと考えています」(宇野氏)

 加えて、エンジニア以外のメンバーとのコミュニケーションを重ねていくうち、社内の協力体制も築かれ始めたと高原氏は話す。

 「最初のうちは役員からの無理難題に押しつぶされそうになっていたのですが、チームをまとめ上げていくためには臆せず率直な意見を交わしていく必要があると思い、役員にもしっかりと自分の考えを伝えるようにしたところ、『逆にもっと言ってくれて構わない』と言ってもらえました。今では他部署の人たちも『エンジニアの時間を取るのは良くないから、自分のことは自分でやろう』という意識が醸成されたように感じます」(高原氏)

 エンジニアが働きやすい環境を作ろうという社内の意識の変化は、有償ツールの導入にも表れている。

 「前職ではそもそもGitHubやSlackなどのクラウドサービスの使用が禁止されていたので、コードレビューもパソコンのモニターを直接見せて行っていたほどでした。Macbee PlanetではGitHubやSlackはもちろんのこと、CircleCIやWaffle、New Relic、IntelliJ IDEAなど、有償ツールの導入をしたいと言っても反対されません。レガシーなしがらみや保守的な体制がないのは、スタートアップならではのありがたみですね」(宇野氏)

 「僕がMacbee Planetの好きなところは、他部署の人に気軽に相談できるところです。いろんな人の知見を取り入れられる環境があることです。わざわざ打ち合わせの場を設けなくても、みんな楽しそうに議論を交わす文化があります」(高原氏)

 さらに、役員との距離が近いスタートアップだからこそ、多岐にわたる業務に携われることも魅力的だと宇野氏は語る。

 「大きな組織では、会社の歯車としてごく一部の業務にしか携わることができませんが、Macbee Planetでは開発者として手を動かしつつ、エンジニアの組織づくりにもコミットすることができます。さらに技術カンファレンスへの協賛や企画プロデュースなども担当しているので、エンジニアの枠とらわれないミッションに毎日チャレンジできて非常にエキサイティングです」(宇野氏)

「社会に対してコミットできることは何か」を自問自答してほしい

 最後に、勢いのあるスタートアップ企業で活躍できるエンジニア像や、理想のエンジニアチームについて、高原氏に聞いてみた。

 「人数の少ない会社に入って思うのは、組織を大きくしていくことは本当に大変で、よほどの覚悟がないと難しいということです。入社前は僕もいつか起業したいと思っていましたが、今は自分が何をやりたいのか自問自答しているところです。

 今は『プロダクトを成長させたい』という思いを一人一人が持っているような、そんなエンジニアチームを作りたいです。それが最終的なプロダクトの質につながると思っているからです。

 エンジニアは、自分がやりたいことを実現できる能力を持つクリエイティブな存在。だからこそ、『何のために働くのか』『社会に対してコミットできることは何か』と考えてほしいです。社会を成長させたいと、心から思っている人が活躍できると思います。

 あとは、勉強でも趣味でも何でもいいので、好奇心を持ってとことんこだわり抜ける人。そういう人が、与えられたお題を深く考えて、自分の考えを提案して、こだわりを持って手を動かせる人だと思っています」(高原氏)

 対する宇野氏の考えは、どうだろうか。

 「Macbee Planetでやりたい事業のアイデアがいっぱいあるので、早く仲間を集めて実現したいです。Macbee Planetのエンジニアは日本一パフォーマンスが高いと言ってもらえるようにしていきたいですね。

 志向としては、サボるために努力することをいとわない人がいいですね。自動化できることは全部自動化したいし、働かなくて済むならそれがベストです。不労所得が最強だと思っています。弊社のエンジニアはそんな人達ばっかりなので、同じマインドの人だったら仲良くやっていけるのではないかなと思っています」(宇野氏)

 このように一見、対照的な2人が同じゴールを目指して力を合わせたとき、Macbee Planetのエンジニアチームはどのように成長していくのだろうか。今後が楽しみだ。

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著者プロフィール

  • 野本 纏花(ノモト マドカ)

     フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人...

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