勢いのあるスタートアップで働くことが「夢を叶える近道」
「Robee」の開発が始まったのは、2017年2月のことだった。依然としてエンジニアは高原氏1人だったことから、外注先で2名をアサインしてもらい、そのうち1人がPMを務め、高原氏を含む3名で開発を行った。しかし外注先と社内の連携がうまくいかず、苦悩する日々。次第に高原氏は実際に手を動かすよりも調整役に回らざるを得なくなっていったという。
「外注先の方は過去のいろんな開発経験から『こうしたほうがいい』と提案してくるのですが、こっちが望んでいるものとは違う。どうにかしてこちらの意図を汲んでもらうために、かなり試行錯誤を重ねました。
今のエンジニアって、需要が高くて働く場がたくさんあるので、自分のしたいようにしたい人が多いと感じています。『言われたものを自分の作りやすいように作りますよ』というスタンスで、このプロダクトをどうしても成功させたいという思いが少ない。これはもう内製化するしかないと思い、昨年の12月にようやく完全に内製化したんです」(高原氏)
「Robee」の開発の傍らで、採用活動を行っていた高原氏が目をつけたのが宇野氏だった。
「当社のようなエンジニアが少ない環境でも、ガッツを持って前のめりになれる人を探していたのですが、エンジニアってそういう気質の人は少ないんですよね。言われたことをやりたい人が多くて、なかなか良い人には出会えませんでした。それでもあきらめずに探していたところ、宇野を見つけたんです」(高原氏)
大学卒業後、つまらなかったらゲームを返品できるというビジネスモデルで起業した宇野氏。その後はスマホアプリエンジニアに転職し、個人デベロッパーとしてさまざまなスマホアプリを開発・リリースしたが、どうにも儲からない。この問題を解決するためには胴元に忍び込むしかないと考えた宇野氏は、アドテク業界で急成長中のMacbee Planetへの入社を決めたという。
「僕の夢は技術力を駆使して新しい価値やビジネスを創造することです。Macbee Planetはこんな僕の夢でも応援してくれる土壌があり、やる気さえあればイントラプレナーになることも可能です。そして何より、『こんな会社をつくりたい』と心から思えるような会社だったので、ジョインしました」(宇野氏)
エンジニアが働きやすい環境を目指して
宇野氏のミッションは、エンジニアの数を増やすべく、エンジニアが働きやすい環境を作ることだ。エンジニアにパフォーマンスを発揮してもらうため、エンジニアの要望を叶えるために社内調整を行ったり、採用活動に向けたブランディングに力を入れたりしているのだという。
「現在はフリーアドレス制を採用していますが、要望があれば固定デスクを支給したり、個室で開発したいと言われたときには、会議室を予約して集中開発室をセッティングしています。僕自身エンジニアとして『エンジニアがパフォーマンスを最大限発揮できる環境』は熟知しているので、会社のためにもエンジニアのためにも要求には最大限応えたいと考えています」(宇野氏)
加えて、エンジニア以外のメンバーとのコミュニケーションを重ねていくうち、社内の協力体制も築かれ始めたと高原氏は話す。
「最初のうちは役員からの無理難題に押しつぶされそうになっていたのですが、チームをまとめ上げていくためには臆せず率直な意見を交わしていく必要があると思い、役員にもしっかりと自分の考えを伝えるようにしたところ、『逆にもっと言ってくれて構わない』と言ってもらえました。今では他部署の人たちも『エンジニアの時間を取るのは良くないから、自分のことは自分でやろう』という意識が醸成されたように感じます」(高原氏)
エンジニアが働きやすい環境を作ろうという社内の意識の変化は、有償ツールの導入にも表れている。
「前職ではそもそもGitHubやSlackなどのクラウドサービスの使用が禁止されていたので、コードレビューもパソコンのモニターを直接見せて行っていたほどでした。Macbee PlanetではGitHubやSlackはもちろんのこと、CircleCIやWaffle、New Relic、IntelliJ IDEAなど、有償ツールの導入をしたいと言っても反対されません。レガシーなしがらみや保守的な体制がないのは、スタートアップならではのありがたみですね」(宇野氏)
「僕がMacbee Planetの好きなところは、他部署の人に気軽に相談できるところです。いろんな人の知見を取り入れられる環境があることです。わざわざ打ち合わせの場を設けなくても、みんな楽しそうに議論を交わす文化があります」(高原氏)
さらに、役員との距離が近いスタートアップだからこそ、多岐にわたる業務に携われることも魅力的だと宇野氏は語る。
「大きな組織では、会社の歯車としてごく一部の業務にしか携わることができませんが、Macbee Planetでは開発者として手を動かしつつ、エンジニアの組織づくりにもコミットすることができます。さらに技術カンファレンスへの協賛や企画プロデュースなども担当しているので、エンジニアの枠とらわれないミッションに毎日チャレンジできて非常にエキサイティングです」(宇野氏)