具体的には以下のことについて説明していきます。
- どうしてGCPなのか
- GCPの効率的な学び方
- 認定資格について
- 認定トレーニング概要
はじめに
筆者は、もともとはフリーランスのAndroidエンジニアで、日本でAndroidが発売される前からAndroidの開発に携わっていました。その一方でGoogleのテクノロジーに魅力を感じ、Google App Engine(GAE)を触ってモバイルバックエンドなサーバアプリケーションなども開発していました。そのような背景もあってGCPにも興味を持ち、Googleの技術が強みの技術者集団として有名なTOPGATEに入社しました。
TOPGATEはGoogle技術に特化した開発・トレーニング等を行い、特にビッグデータ活用や機械学習など先進的な分野の開発に強みを持ち、企業規模は小さくありますが、業界では高い技術力が認められている企業です。
現在は、TOPGATEでGoogleの認定レーナーとしてGCPの指導をしております。また、多くのGCPのイベントでも登壇させていただきました。
認定トレーナーになるためにはいくつか条件があり、その一つが資格に合格することです。現在はProfessional Cloud ArchitectとProfessional Data Engineerの資格が対象となっています。
GCPにはGoogleの認定レーニングがたくさんあり、いくつかは資格試験と直結した内容となっています。それ以外でもGCPを業務で役立てるためのたくさんのノウハウが含まれています。GCPは他のクラウドサービスと大きく違って、クラウド技術の多くがGoogleの独特のテクノロジーで構成されています。他社製のクラウドとは違った考え方が重要なことも少なくありません。
今回はGCPの技術的な話から資格の話までGCPの効率の良い勉強方法について解説したいと思います。
対象読者
- GCPを効率よく勉強したい方
- GCPの資格試験に合格したい方
- GCPのオフィシャルトレーニングに興味を持っている方
どうしてGCPなのか
GCPは、もともとはGoogle自身がGmailなどのサービスをユーザに快適に使ってもうら為に構築した大規模なクラウドコンピューティングのプラットフォームでした。
Googleは、「すべての情報を整理し、世界中の人に届ける」という使命を掲げていて、検索やGmail、YouTube等のサービスを展開するために、世界中にデータセンターを作り、海底ケーブルを引き大陸をまたいでプライベートなネットワークを構築しています。
GCPの魅力は、Googleのインフラストラクチャと全く同じものを使えることです。つまり、Googleが提供しているサービスと同じ環境で自分たちのサービスを動かすことができるのです。
Googleの高速検索サービスや、スパムフィルター、Google フォトの画像認識、Google ドライブのオンラインストレージなどの技術と同じものを使うことができ、Googleのサービスが動いているデータセンターと同じところにみなさんのアプリケーションを動かすことができます。
GCPにはWebアプリケーションや、モバイルのバックエンドサービス、ビッグデータ分析や機械学習など、たくさんの選択肢があり、それらのサービスはお互いに親和性も高いので連携して使うことができます。
これらのサービスを連携して使えば、Googleと同じ規模で同等のサービスを作ることだって可能です。
たくさんのパブリッククラウドサービスがあるなか、インフラストラクチャで最大のものはやはりGCPと言えるでしょう。
GCPの効率的な学び方
GCPの勉強方法はさまざまです。ひたすらGCPを使う、書籍を読み漁る、勉強会に参加する、あるいは有料の講座を受講するなど、人それぞれです。
ここでは、GCPの学習方法の中で、Googleの公式のドキュメントやトレーニングについて紹介したいと思います。
私がおすすめするものは以下の3つです。
- 認定トレーニング
- Coursera
- Qwiklabs
認定トレーニング
GCPのサービスはたくさんあります。どれから手を付けていけば迷ってしまう、それぞれのサービスの違いがわからないという人も多いと思います。そういう人におすすめなのが認定トレーニングです。講座のバリエーションも豊富で、詳細は後述しますが、その中で特に「Google Cloud Platform Fundamentals: Core Infrastructure」がおすすめです。認定トレーニングの詳細については後述します。
Coursera
Coursera(コーセラ)とは、認定トレーニングのオンライントレーニング版です。現在5つ以上のコースが日本語化されていますが、他のコースも続々と日本語化される予定となっています。オンライントレーニングには以下のような利点があります。
- 月額課金制で、通常の有料トレーニングより安く済ませることができる
- 会場まで足を運ぶ必要がない
- 自分の都合に合わせて受けることができる
特に、自分のペースに合わせて動画を繰り返し見ることができるのは、オンライントレーニングならではの利点です。
2018年10月現在、日本語化したコースは以下の特別講座に含まれています。
- Architecting with Google Cloud Platform 特別講座
- Data Engineering on Google Cloud Platform 特別講座
- Machine Learning with TensorFlow on Google Cloud Platform 特別講座
Qwiklabs
Qwiklabs(クイックラボ)は、Googleが提供しているGCPのオンライン学習環境です。たくさんあるサービスの中からターゲットを絞って、チュートリアルを進めながら学ぶことができます。2018年10月現在では、255個のラボが用意されており、そのうち50個は日本語対応されています。
Qwiklabsのいいところは、実際にクラウド環境で試すことができるという点です。ラボ毎に一時的なアカウントとGCPプロジェクトが用意されます。そのためクリーンな環境から始めることができます。画面のキャプチャ付きで丁寧に解説されていて、必要なコマンドはコピーできるようになっています。
注意しなくてはいけないことは、ラボごとに制限時間が設けられているため、時間内に終わらせないと最初から始めることになります。また、権限も限定されているため、他のサービスと連携して使いたいなど、ラボの目的から離れた操作はできないようになっています。
Qwiklabsはラボごとに購入して利用することができます。ラボの内容などは購入しなくても見れるようになっています。
こちらは、GCPの使いたいサービスが決まっていて、使い方がわからないという方に最適な選択肢です。
GCPを学ぶには? トレーニングのご紹介
GCPを効率よく学ぶにはトレーニングが有効です。ぜひ以下をチェックして、スキルアップにお役立てください!
対面でしっかり学びたい方
オンラインで学びたい方
認定資格について
GCPには以下の認定資格があります。
- GCPを活用するスキルを問われる「Associate Cloud Engineer」
- インフラストラクチャの知識を問われる「Professional Cloud Architect」
- データと機械学習の知識を問われる「Professional Data Engineer」
Google Cloud Certifiedを取得することで、Google Cloudテクノロジーによるアプリケーション開発、インフラストラクチャの設計、管理、運営、データソリューションなどの技術や製品への知識があることが、Googleによって証明されます。対外的な評価も高まり自社・自身のブランディングにもつながります。
GCP認定資格を取得するメリット
この認定資格を取得すると、主に2つのメリットがあります。
まず、エンジニアとしての市場価値が上がります。近年の各種日本メディアでは、AI、機械学習、IoT、ビッグデータといったキーワードでの報道が増えてきました。そして、これらをビジネスで取り入れる上で必要不可欠になるのがクラウド環境です。
こういったビジネスシーンにおける背景から、クラウド技術に知見のある人材、中でもデータ活用や機械学習に強いGCPの認定資格を取得している人材は、市場において非常にニーズの高い存在となります。GCP認定資格の取得で、エンジニアとしての地位を向上させることができます。
次に、国内企業にとどまらないエンジニアとしてのキャリアを形成することができます。海外では日本以上にGCPが注目を集めており、GCP認定資格取得者の市場価値は一般的に日本国内で考えられている印象より、はるかに高いものとなっています。
そんな背景からGCP認定資格を取得すると、活躍の場が海外企業にも広がります。グローバルなキャリアを積みたい方にはおすすめです。
新設された認定資格「Associate Cloud Engineer」
現在、GCPに精通する人材の需要が高まっており、Googleはこれに関してGCPを活用するスキルと経験を持つ個人を特定するために、Associate Cloud Engineer認定を新設しました。
この資格を取得することで、GCPでアプリケーションを導入し、クラウドプロジェクトを維持するために必要な基盤となるスキルをが備わっていることが証明されます。
認定トレーニング概要
Google Cloudの技術を最大限に活用するためにGoogle公認のトレーニングが用意されています。トレーニングを受けることで、必要な技術力とベストプラクティスを習得することができます。
Google公認のトレーニングは、GCPオフィシャルトレーニングパートナーから提供されています。TOPGATEもトレーニングパートナーのひとつで、今まで3600人以上を指導してきた圧倒的な実績があります。
GCPのトレーニングは大きく以下の3種類に分類されます。
- クラウドインフラストラクチャ
- データと機械学習
- アプリケーション開発
クラウドインフラストラクチャ
クラウドインフラストラクチャでは、主にGoogleクラウド上でサービスを構築することに主眼をおいています。特にオンプレで動いているシステムをGoogleクラウドに移行するための手段、GCPで使用するネットワークやロードバランサー、VMやコンテナ、アクセス権限やセキュリティ、他のパブリッククラウドとの違いなどをについて取り上げています。
クラウドインフラストラクチャでは以下のコースが提供されています。この中でGCPのサービスを浅く広く知りたいという人におすすめなのが、「Google Cloud Platform Fundamentals: Core Infrastructure」です。このコースは、GCPを知らない人をターゲットにしており、GCPの各サービスの概要と特徴をいくつかの事例を含めて完結に説明します。そのため、GCPのどのサービスを使ってアプリケーションを作成するればいいのかわからない方はイメージがつかみやすい内容となっています。
クラウドインフラストラクチャは以下のコースが提供されています。TOPGATEで提供しているコースは、実際のトレーニングへのリンクを貼っています(以下同様)。
- Google Cloud Platform Fundamentals: Core Infrastructure
- Architecting with Google Cloud Platform: Infrastructure
- Introduction to Cloud Identity
- Architecting with Google Cloud Platform: Design and Process
データと機械学習
ビッグデータ分析や機械学習に興味のある方をターゲットにしたコースも提供されています。Googleではペタバイト級のデータを扱うため、独自のアーキテクチャで多くのソフトウェアを開発しています。それらのいくつかは論文やオープンソースとなって世の中に展開されています。代表的なものにはHadoopやTensorFlowがあり、Googleが開発してGCP上で既に動いているという実績があります。Googleのビッグデータ、機械学習のノウハウを求めている方にとっては最適なコースです。
データと機械学習は以下のコースが提供されています。
- From Data to Insights with Google Cloud Platform
- Google Cloud Platform Fundamentals: Big Data & Machine Learning
- Data Engineering on Google Cloud Platform
- Machine Learning with TensorFlow on Google Cloud Platform
アプリケーション開発
GCP上で動作するアプリケーション開発をする方がターゲットとなるコースです。GAEを使ったWebアプリケーションや、サーバレスアーキテクチャを実現するCloud Functions、APIゲートウェイであるCloud Endpoints、モバイルバックエンドとして注目されているFirebaseなどについて深く知りたい方が対象となっています。
アプリケーション開発は以下のコースが提供されています。
- Google Cloud Platform Fundamentals: Core Infrastructure
- Developing Applications with Google Cloud Platform
トレーニングを受けることのメリット
以下のような考えをお持ちの方にGCP認定トレーニングの受講を推奨しています。
- 独学に挫折した方
- GCPのアウトラインを把握したい方
- 短期間でGCPを理解したい方
GCPにはたくさんのサービスが提供されています。どれから手をつけていけばわからない方や、短期間でGCPを理解したい方は学習効率を高めることができます。
GCP認定トレーニングのメリット
また、GCP認定トレーニングには以下のメリットがあります。
Google認定トレーナーからの直接指導
Googleが求めるトレーナー要件は厳しく、その条件をクリアしたスキルを持ったトレーナーからの直接指導を受けることができます。トレーナーは日常業務でGCPを使用しており、実務経験から得た知見やノウハウも混ぜなから指導してくれます。
Google謹製のコンテンツ
トレーニングは大きく、座学とハンズオンとなっています。座学で使用するコンテンツはGoogle謹製のもので、Googleの優れたエンジニアによって作成されています。公式ドキュメントでは公開されていないような複雑なアーキテクチャや事例などが含まれています。
トレーニング専用のQwiklabs
ハンズオンでは、座学に沿った内容でQwiklabsが用意されています。トレーニングで使用するQwiklabsはトレーニング専用となっており、トレーニングを受けた人しか利用することができません。
初心者向けのラボから実際の業務を想定したものまで多く取り揃えています。難しいラボも多いのでやりがいがあります。
事前準備はほとんど必要なし
トレーニングまでに用意してほしいのは、Chromeが動くノートパソコンとQwiklabsのアカウントです。「Googleアカウントは必要ないんですか?」と思われたのではないでしょうか。実は必要ありません。Qwiklabsはラボ毎に一時的なGoogleアカウントを提供してくれます。また、ノートパソコンは会場によっては貸し出している場合がありますので、手ぶらで向かうことも可能です。
前提条件
受講条件はコースによって違いますが、すべてのコースで共通して言えることは、Linuxや関連テクノロジーの基本的な知識があるとコースの理解が深まるということです。GCPを操作するためコマンドラインツールを使ってラボを勧めていきます。その際、Cloud ShellというDebianベースのLinuxオペレーティングシステムを使って作業を行います。また、資料内のコマンド例にはLinuxコマンドを使ったものが多く載っています。
各コースごとの前提条件は公式ページで確認してください。
おわりに
いかがでしたか。Googleには、エンジニアの実力を証明するための資格があり、GCPを学ぶためのさまざまな方法が公式で提供されていることがわかったのではないでしょうか。また、GCPを効率よく学ぶための手助けになったでしょうか。この記事を読んで自分にあった勉強方法が見つかれば幸いです。
GCPを学ぶには? トレーニングのご紹介
GCPを効率よく学ぶにはトレーニングが有効です。ぜひ以下をチェックして、スキルアップにお役立てください!