SI系とWeb系エンジニアは得意分野が異なる
田中氏が所属するメドレーは、「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションを掲げ、医療介護分野の人材採用プラットフォーム「JobMedley」やクラウド診療支援システム「CLINICS」、医師たちがつくるオンライン医療事典「MEDLEY」など、テクノロジーを活用した医療分野のプロダクトを展開している。
医療業界が抱える課題の1つが、年々、医療費が増えていること。「現在の医療費は40兆円を超えており、2025年には50兆円を超えると見込まれている」と田中氏は語る。
その上、この分野では自動化がなかなか進んでおらず、業務効率を改善する余地が大きい。そのため慢性的な人手不足に悩んでいるという。
このような課題の解決の一助になるのが、メドレーが提供する「CLINICS」である。同システムはインターネットを通じて診察予約・問診、ビデオ診察、決済、薬や処方箋の配送までを一気通貫で提供する。またCLINICSカルテというクラウド型の電子カルテも提供している。
今やメドレーのようなX-Techのサービスを手掛ける企業は続々と増えている。こうした流れにより、「エンジニアを取り巻く環境も変化している」と田中氏は説明する。
田中氏自身、新卒でSIerに入社し、30歳までエンジニアとして基幹システムやパッケージシステムの開発に従事。30歳になったタイミングでもう少し上流の経験をすべく、ITコンサルティング会社に転職。4年間、企画・提案から入り込み開発案件のリードを担当したが、Web系開発が活発化しだしたこと、自分で手を動かすことが減ったことを危惧し、もう一度エンジニアとしてやり直すため、大手Web系の開発会社に転職。そこでアバターサービスやソーシャルゲームなどのサーバーサイドを担当したという。そして40歳を目前にし、X-Techが活発化してきたのを機に、メドレーで医療×ITに携わるに至った。
実際にX-Tech領域である医療業界に身を投じてわかったのは、「多様なテクノロジーを組み合わせて活用し、どのように課題を解決するかが重要となってきていること。このような背景があり、経験豊富なエンジニアのニーズが高まっている」と田中氏。だからこそ、これからのエンジニアは「Web開発のスピード感とSIの業務設計力を組み合わせたスキルが必要になってきている」と言うのである。
SI系とWeb系エンジニアはそれぞれ得意とする分野が異なる。「ざっくり言うと、SI系は固く着実に進めることを得意とし、Web系は柔軟にスピード感を持って進めることを得意としている」と田中氏。
また得意とするスキルにも違いがあるという。SI系では業務設計能力やコミュニケーション能力などが、Web系では実装力やデザインスキルなどが重視される傾向にある。「現状の自分のスキルバランスを把握することが大事」と田中氏はアドバイスする。