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イベントレポート

ユーザー体験を支える検索・マッチング技術はどう作られる? クックパッド、メルカリ、エウレカがノウハウを披露

「Cookpad Product Kitchen #4 ユーザー体験を支える検索・マッチング技術」レポート

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 サービス開発の手法や考え方について、知見や学びを共有する勉強会である「Cookpad Product Kitchen」。2019年9月25日に開催された第4回のテーマは「ユーザー体験を支える検索・マッチング技術」だ。サービス内にどれほど有益なデータがあったとしても、ユーザーがそこに到達できなければ、利便性を享受できない。いわば、検索・マッチングの技術がサービスの印象そのものを決定づけるのだ。では、有名サービスの開発・運用に携わるエンジニアたちは、いかなる手法を用いてデータとユーザーの橋渡しを行っているのか。クックパッド、メルカリ、エウレカの3社がそのノウハウを明かした。

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 ※本記事に記載されている数値などの情報はいずれも、イベント開催時点のもの。

「クックパッドのレシピ検索とレシピコミュニティ」

クックパッド株式会社 VP of Search 兼山元太氏
クックパッド株式会社 VP of Search 兼山元太氏

 料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」は、膨大なデータを扱っているサービスだ。国内レシピの数は2019年6月30日時点で約310万品、つくれぽ(クックパッドに投稿されているレシピをもとにユーザーが料理をつくり、その感想を写真付きで投稿するという機能)の数は約2200万件、国内の月間の利用者数は約5400万人。想像もできないほどの数値である。

 多量なデータがある中で「良いレシピが簡単に見つかる」「投稿したレシピにつくれぽが届く」というユーザー体験を創出するには「検索エンジンをどう最適化し、どのようなランキングを表示するか」が、極めて重要となる。

 「クックパッドの検索結果には『新着順』と『人気順』によるランキングがあります。『新着順』から新しいレシピを見ているのはおおむね無料ユーザーで、有料ユーザーは古いレシピも含めて『人気順』をよく見ている傾向があります。利用者の大多数は無料ユーザーであることを踏まえると、『料理を投稿すれば、つくれぽがすぐに来て、レシピ投稿者がうれしい気持ちになる』というユーザー体験を創出するには『新着順』をどう機能させるかが重要になるわけです」(兼山氏)

利用者の88%は無料ユーザーなので「新着順」の検索結果が重要
利用者の88%は無料ユーザーなので「新着順」の検索結果が重要

 また、「新着順」の表示内容には別の工夫も施している。ユーザーが目的のレシピを探しやすくなるように、関連検索を利用し先回りして検索する「リランク」という操作を行っているのだ。

 例えば、ユーザーが「ローストビーフ」と検索した場合を考えてみよう。クックパッドには数多くのレシピが投稿されているため、単純に投稿時間が新しい順に表示すると「ローストビーフ丼」や「ローストビーフのタレの作り方」などユーザーの目的に沿っていないレシピも数多く出てきてしまう。「ローストビーフ」という検索クエリから考えると、もっとも目的に沿っているのは「ローストビーフの作り方」だろう。

 「こうした事態を防ぎ、ユーザーにとって有益な検索結果を実現するために、リランクを活用しています。特定のキーワードで検索したユーザーが、次に何を検索するかというデータを集計しておきます。そのデータを用いて、次に検索する可能性が高いものを、ランキング上部に重複しない形で表示しているのです」(兼山氏)

 だが、この仕様にはジレンマもある。先頭に関連性の高いレシピを集めると、ポジションバイアスによって閲覧されるレシピが偏ってしまう。つまり、多くのレシピを見てもらう機会が減るのだ。「ユーザーニーズとの関連性が高い検索結果」と「より多様性のある検索結果」のバランスを取るために、同社では日々、検索アルゴリズムの改善が行われており、進化を続けている。

 また、「人気順」の工夫についても兼山氏は解説する。「人気順」によるランキングにおいては、当然ながらレシピの人気度が非常に重要だ。加えて、検索クエリとレシピの関連性も重要になる。それらを鑑みた適切なランキングを実現するため、前日のクリック情報をもとに順位を調整し、リランクしているという。その結果として「普段と同じ検索キーワードでも、新しい発見がある」というユーザー体験の創出につながるのだ。

「いつもの検索語で、新しい発見ができる。」ユーザー体験
「いつもの検索語で、新しい発見ができる。」ユーザー体験

 クックパッドの利用者にとって「検索結果にどのようなレシピが表示されるか」は、サービスの利便性そのものを左右する極めて重要な要素である。検索機能において、同社が数多くの工夫を行っていることが伝わるセッションとなった。

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この記事の著者

中薗 昴(ナカゾノ スバル)

 週の半分はエンジニア、もう半分はライター・編集者として働くパラレルキャリアの人。現職のエンジニアとして培った知識・経験を強みに、専門性の高いIT系コンテンツの制作を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/11797 2019/11/06 11:00

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