新たなる障壁
プロダクトマネージャー以外もユーザー課題の解決という目線でプロダクトに提案を送れる「Quick PRD」を作り、提案も多くあげられるようになった一方で、新しい課題も生まれてきました。それは、組織や事業の拡大に伴い、より大規模なチームによる長期プロジェクトが増えてきたことで、プロダクトマネージャー、エンジニア、デザイナーらそれぞれが、Quick PRDで提案される小さな改善活動に時間を割けなくなってきたことです。
2021年1月現在、Chatworkで進められるプロジェクトはプロダクトマネージャーが作るロードマップにしたがって進められます。プロジェクトではエンジニアやデザイナーなど、担当者が立てられますが、担当者以外のメンバーもコードのレビューやデザインのチェック、構築されたプロダクトの動作確認を行います。プロジェクトは並行して進むこともあるため、1人あたりが使える時間は減ってしまいます。
また、プロダクトマネージャーとしても、作ったロードマップによるプロジェクトが最優先となるため、Quick PRDを承認したあとの推進やフォローに時間が割けなくなってしまいました。その結果、承認した起案がたまっていく状態となってしまいました。
これら2つの課題が重なり、
- エンジニアやデザイナーからすると、着手するタイミングが取りづらい
- プロダクトマネージャーからすると、ロードマップによるプロジェクトが最優先でQuick PRDのフォローができない
という課題が発生しました。せっかくの提案も形にならなければ意味がありません。そこで、この課題を解決するための施策を考えることにしました。
グロースエンジニアリング部の誕生
Quick PRDの課題を解決するためには組織的な課題を解決する必要があると考えました。プロジェクトとして実施されるプロダクト開発のタスクのほかに、それぞれの職能別の部署として取り組みたい改善活動や、組織的に取り組まなければならないタスクが発生することで、隙間時間に改善活動を行うことは難しい状態だったからです。
そこで、Quick PRDなどのロードマップに乗らない、細かな改善を進めることに集中する専任の組織形態を作ることになりました。それがグロースエンジニアリング部です(発足当時はグロースエンジニアリング室)。Quick PRDに起案され、承認された提案や、プロダクトマネージャーが管轄するフリーミアムモデルに関する新規登録率などに寄与するグロース施策を専任で実施する部署です。
職能別の部署と異なり、1つの部署の中にプロダクトマネージャーとウェブやモバイルのエンジニア、兼任ではあるもののデザイナーが所属する機能別の部署です。グロースエンジニアリング部が立ち上がることで、Quick PRDに起案され、承認された提案のリリースのスピードが上がることになります。詳しくは次回の記事で紹介いたします。
最後に
今回の記事ではプロダクトマネージャーが書くドキュメントである、PRDをベースにしたQuick PRDの仕組みを作ることで、プロダクトマネージャー以外もプロダクトに対する提案をあげやすくなり、ユーザー課題解決につながるリリースを素早く実施できるようになったことと、こうした改善を専任で行う部署の立ち上げを行った事例を紹介しました。
PRDは重厚なドキュメントになりがちですが、その中にある要素を使うことで、プロダクトマネージャー以外もプロダクトに対する提案を良い形で行えるようになりました。プロダクトマネージャーが伝える、「誰のための、どんな課題を解決したいプロダクトを指向しているのか」をより具体的に意識してもらえるようになったとも感じています。
また、現在ではビジネス部署からの改善要望や企画もQuick PRDをベースにした形であげられるようになりました。PRDを元にした仕組みによって、全社的なプロダクトに対する要望のあげ方の意識を同じ方向に向けられたのは、大きな成果だと感じております。
社内からプロダクトに対する声を集めるときの参考にしていただけたら幸いです。
