UI/UXだけでなく、ユーザーインタビューも自身で行うワケ
――ラクスルが提供する広告のプラットフォーム「ノバセル」にはどういった特徴があるのでしょうか。
ノバセルは、テレビCMの企画から制作、放映、分析までを一気通貫で提供しているサービスです。「マーケティングの民主化」という事業ビジョンのもと、マーケティング施策のなかでもっとも、実施手段の把握や効果の可視化が難しいとされているテレビCMの民主化を目指すべく生まれました。現在のお客さまは初めてテレビCMに挑戦するITサービスを展開するスタートアップ企業などが多いですが、これまでテレビCMの効果を可視化できないことに課題を感じられていた大企業にも少しずつ広がってきている印象です。
ノバセルの強みのひとつは、テレビCM効果測定ツール「ノバセルアナリティクス」です。昨年特許を取得したこのツールでは、リアルタイムで効果を可視化できる点が大きな特徴です。
もうひとつは、自社のノウハウが詰まっている点。ラクスル自身、2014年にマーケティング施策として取り入れたテレビCMが、企業が急成長するためのポイントとなりました。その試行錯誤の過程で得た知見を詰めこんで開発したところも、強みのひとつではないかと思っています。
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――ノバセルの開発体制や加茂さんの行っている業務について教えてください。
ノバセルに関わるメンバーは全部で約50名ほどおり、大きくわけて広告代理店事業としてテレビCMの企画から放映までをサポートするチームと、「ノバセルアナリティクス」に関わるチームに分かれています。
現在は、デザイン業務は私ひとりで、ノバセルアナリティクスのUI/UXデザインを担当しています。リードを獲得するためのLPやバナーの制作、イベントの販促物などは外部のデザインスタジオの方にもサポートいただき、ノバセル全体のブランドデザインに関しては、週に1度行うミーティングで話し合いながら進めています。
私はプロダクトを担当しているので、PdM、エンジニアなど20人弱のメンバーと一緒に業務にあたることが多いです。新しく機能を追加する場合は、早い段階からPdMとエンジニア、デザイナーとで話し合いながら、Figma上で簡単なラフデザインをつくっていきます。またそれ以外にはユーザーインタビューの実施とその振り返り、カスタマージャーニーやペルソナの整理なども行っています。
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――いままでにユーザーインタビューを行った経験はあったのですか?
前職でも何回かありました。ただ、海外のサービスに携わっていた時間が長く、ユーザーインタビューとなるとUXデザイナーの方が現地に出張に行くときに実施することが大半でした。現在のようにリモートが普及していなかったこともあり、同席する機会は多くはなかったです。
当時もユーザーのことを知りたいと考えてはいましたが、まずはリリースに間に合わせなければいけないという思いから作ることに精いっぱいになっていました。ユーザーからもらったフィードバックも、文化の違いからか理解できないことも多くて……。それがもどかしかったこともあり、インタビューから関わることで自分自身も納得してサービスに携わりたいですし、ユーザーにも納得して利用してもらえるものがつくりたいと思うようになりました。UIデザインは今ももちろん好きですが、もう少しUXに染み出していきたかったんです。