ライフステージの変化に応じて、直接スキル・間接スキル・時間を意識
IT業界では、男性エンジニアに比べて女性エンジニアが圧倒的に少ない。そもそも出産後、職場に復帰する女性は多くない。ましてや女性管理職も決して多いとは言えないだろう。その理由の一つとして、ロールモデルの不在が挙げられる。
結婚や出産、育児、そして介護といったライフステージの変化の中で、エンジニアとして、管理職としてどう働き続けてきたのか。西村さんは自身の体験から得たスキルや働き続けるためのポイント、これからエンジニアを目指す女性や、ライフステージの変化を迎える人にヒントにしてほしいと語り、セッションをスタートさせた。
まず西村さんは、新卒入社から現在までにおける仕事とライフステージをタイムラインに示して紹介。西村さんいわく、20代は担当業務だけでも必要なスキルが向上し、成長実感があった。しかし30代になると、さらにスキルや知識の幅を広げたいと考えるようになった。そして、将来のキャリアとして、それらを活かしてサービスを良くしていくことにも関わっていきたいという想いを強くする。
また、女性は特にライフステージの変化に応じて、自分の時間がなくなることが多いため、時間の創出や工夫が必要になる。そこで、今回のセッションではこのタイムラインを6つのライフステージに分け、「直接スキル(目の前の業務スキルの向上)」「間接スキル(知識、スキルを広げる)」「時間(時間の創出・工夫)」という3つの軸からその変化や工夫ポイントを伝えていった。
ステージ1:新卒入社後は、エンジニアとしての直接スキルを深める
前職では、小さいシステムの保守・開発をしていたという西村さん。Java、VBといった複数言語を習得。データベースについても、Oracle、PostgreSQLなどの知識を深め、「ORACLE MASTER Gold」の資格も取得することができた。
ヤフーに転職後も、これらの知識を活かしながら、新たなシステム開発の経験や知識を広げていった。現在でもこの当時に得た知識を活かしていると振り返る。
ステージ2:管理職へのチャレンジと結婚生活のスタート
その後、Yahoo!トラベルからYahoo!ニュースに異動した西村さんは、PMや組織の管理職を務める。それに伴い、コードを書くハードスキルから、プロジェクトマネジメントなどのソフトスキルが求められるようになった。また、結婚によって実家生活から、新たな家庭を持つという変化も訪れた。
「この頃は、チャレンジさせてくれる上司の存在が非常に大きかったですね。直接スキルを深めながら、自分が思い描いていた成長曲線よりもさらに高いチャレンジをすることもできた。その結果、PMや管理職に就くことができたと考えています」
間接スキルでは、英会話などコードを書く以外のスキルを広げることにも挑戦。全く違う業種の会社に勤める夫との会話で、新たな発見や気づきを得ることもあったと語る。
「時間については、家事を自分1人でするのではなく、夫と分担することで分散していました。また、引っ越しによる移動時間の節約で、自分のプライベートの時間は確保できていたと思います」